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政府の景気判断 あまりに遅い引き下げ

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 政府はきのう決定した3月の月例経済報告で、景気の全体像を示す総括判断を大幅に引き下げた。

 2018年1月以来維持してきた「緩やかに回復している」から「厳しい状況にある」に変えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大が経済に悪影響を及ぼしているためという。「回復」の文言が6年9カ月ぶりに消えた。景気は後退局面に入ったとの見方が大勢だ。

 しかし経済の実態はとうに冷え込んでいたのではないか。これまでの政府の景気認識は甘く、引き下げは遅すぎたと言うほかない。

 感染拡大の打撃が深刻なのは確かだが、ここに至ってもアベノミクスの失敗を認めず、対応が後手に回っている政府の責任は重い。

 政府の景気判断は全ての経済政策の土台となる。安倍晋三政権は近く緊急経済対策を打ち出す。五輪延期で一段の悪化もあり得る状況だ。予断なく現状を見極め、適切な対策を講じなければならない。

 日本経済は米中貿易摩擦を背景に輸出や生産の勢いが鈍っていたところに昨年10月の消費税増税が追い打ちをかけ、同年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は大幅なマイナス成長に陥った。

 政府は年明け以降の景気回復に自信を見せていたが、コロナが重なり、そのシナリオも頓挫した。

 解せないのは、今回まで「回復」を維持した政府の判断だ。

 指標から機械的に算出する景気動向指数の基調判断は、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」が昨年8月から続いている。

 景気が回復しているとの見解を崩せば、増税を決行した判断が問われると警戒したのだろう。

 だが景気判断に政治的思惑が入り込めば、政策を誤りかねない。

 実際、昨年7~9月期の実質成長率は0・1%で、増税直前にほぼゼロ成長に後退していた。当時、参院選に向けアベノミクスの成果を誇示したい意向が景気認識の目を曇らせた面は否めまい。

 政府は緊急経済対策の財源として赤字国債の追加発行をにらむ。必要な対策は打たねばならない。

 ただ20年度予算案は楽観的な成長見通しを基に編成され、税収の下振れがそもそも懸念されていた。借金が膨らむ要因はコロナ対応だけでなく、高成長頼みで漫然と歳出を増やしたことにもある。

 感染拡大を抑えつつ、経済活動の自粛で苦境にある企業や働く人を支え、感染終息後には消費を喚起する。谷が深い景気後退を避ける施策を打ち出すには冷静な情勢分析と的確な判断こそが必要だ。

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