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香川ゲーム条例 依存防止の効果に疑問

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 未成年のインターネットやゲームの依存症を防ごうと、香川県議会が全国初の「ネット・ゲーム依存症対策条例」を可決した。

 県や保護者、事業者の役割を定めて「平日は60分まで」と目安を示し、利用ルールをつくって守らせるのを家庭の努力義務とした。

 ゲームをやめられず、日常生活に支障を来す「ゲーム障害」は、世界保健機関(WHO)も認めた「病気」であり、対策が急務だ。

 しかし、依存症の定義が抽象的な上、依存症予防を理由に子育てにまで踏み込み、あるべき姿を強調するなど疑問が多い。

 依存症予防の第一歩は、状況を自覚し、自ら考えることだ。一律の制限より、学校での教育、保護者の啓発、治療体制の整備など、地道な取り組みが求められる。

 条例は「依存症につながるようなスマートフォンの使用」について1日の利用時間の上限を示し、中学生までは午後9時まで、高校生は10時までとした。

 多くの保護者がゲームにふける子どもに手を焼いてきたのは事実だが、学校や教育委員会は既にこうした指導に力を入れてきた。

 改めて条例で定める必要性に乏しいどころか、公権力の家庭への介入という危うさをはらむ。

 条例は前文で、過度の利用が学力や体力の低下、睡眠障害や引きこもりを招くと問題視する。

 ただ、学業不振や友人関係、家庭環境など、さまざまな理由で学校や家庭に居場所がなく、ゲームに逃げ込む子どもは少なくない。

 ゲームという場を奪うよりも、学習支援や家庭支援などを通じて新たな居場所が見つかるようにすることが必要なのは明らかだ。

 条例制定過程にも疑問がある。

 議員提案に対し、県内高校生らが反対署名を議会に提出し、インターネット上では医師や弁護士、事業者から疑問の声も出ていた。

 ところが、8割以上が賛成とされたパブリックコメントを巡る疑念に応えることなく、採決が行われた。これでは手続きが十分とは言えないのではないか。

 ゲームやネットとの付き合い方は道民にとっても大きな課題だ。

 全国学力・学習状況調査では、ゲームに長い時間を費やし、家庭で使い方のルールも決めていない小中学生の割合が、全国平均を上回り続けている。

 IT社会でネット依存に陥るのは子どもだけではない。保護者も含め、自律的な利用方法を身につけるとともに、依存症を適切な治療につなげていくことが大切だ。

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