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道警ヤジ調査 疑念晴れたと言えない

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 道警の警察官らが昨年7月、安倍晋三首相の参院選街頭演説中、批判の声を上げるなどした市民を排除した問題で、道警がきのう、問題はなかったとする調査結果を道議会に報告した。

 道警が法的根拠とした警察官職務執行法は、人の生命や身体に危険が及ぶ恐れがあり急を要する場合や、まさに犯罪が行われようと認められる場合のみ、市民の行動を制限できると定めている。

 排除は、周囲の首相支持者らから、ヤジなどを飛ばした市民らを守るためだったなどという。現場にそのような混乱は見られなかった。あまりに現実離れした無理のある法適用ではないか。

 過剰警備ではなかったかという疑念が晴れたとは言いがたい。

 道警によるヤジ排除は、言論の自由と政治的中立性という民主主義の根幹に関わる問題だ。今回の報告をもって、幕引きを図るようなことがあってはならない。

 札幌市内で行われた演説では、けんかや騒乱があったわけでもない。意見表明の機会を奪うだけの合理的な緊急性があったといえるのか。恣意(しい)的判断との疑義が解消されたと認めることは困難だ。

 犯罪の予防の観点からも疑問が残る。市民の行動を制止できるのは、犯罪の危険性が切迫している場合に限られるが、道議会の質疑を通じても、客観的に明らかな切迫性は見えてこなかった。

 排除された市民の告訴などを受け、特別公務員職権乱用などの疑いで捜査していた札幌地検は、道警の警察官を不起訴処分とした。

 今後、市民らが不服申し立てを行い、検察審査会で審査される可能性もある。注視したい。

 道民の生命と財産を守るのは、知事の責務でもある。道警に対し説明させると明言した以上、今回の報告をそのまま了承するようでは、道民に対する責任を果たしたとは言えないだろう。

 知事に限らず、道議会のほか、民主的運営を管理する道公安委員会も同様の責務を負っている。引き続き、丁寧に説明を尽くすよう道警に働きかけるべきだ。

 排除問題は、森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんなど、公務員による官邸への忖度(そんたく)が指摘される中で起きた。不偏不党からの逸脱を疑われるような行為は厳に慎むべきだった。

 警察官職務執行法は、同法に規定する手段は必要最小限度において用いるべきで、乱用があってはならないと定めている。

 より重く受け止めてほしい。

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