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新型肺炎の拡大 経済不安 協調欠かせぬ

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 新型肺炎の感染拡大が世界的な株安の連鎖を引き起こしている。

 きのうの日経平均株価は下げ幅が一時1000円を超え、約4カ月ぶりの安値となった。

 感染が中国だけでなくイタリアやイラン、韓国でも拡大し、世界経済の先行きに不透明感が強まった。日本政府の対応への批判も広がり、投資資金が安全資産とされる国債や金などに流れた。

 世界の主要株式市場は先週まで高値圏を維持し、感染拡大の悪影響は一時的とする楽観的な見方もあった。同時株安は、事態への対応を誤れば経済危機を招きかねないと警鐘を鳴らしたと言えよう。

 各国の政策当局は緊密に連携し、不安の拡大と経済への打撃を食い止めなければならない。

 最大の懸念は、米中貿易摩擦で減速する中国経済がさらなる痛手を負うことだ。中国は世界に広がったサプライチェーン(調達・供給網)で重要な位置を占め、消費大国としての存在感も大きい。

 国際通貨基金(IMF)は感染拡大を踏まえ、中国の今年の経済成長率予想を1月時点から0・4ポイント下方修正し、5・6%とした。世界経済の成長率も同0・1ポイント程度下がるとの見方を示した。

 閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、新型肺炎が世界経済の下振れリスクであることを確認し、「全ての利用可能な政策手段」を用いて景気を下支えすることで一致した。

 肺炎流行後初の大きな国際会議で危機感を共有した意義はあろう。ただ中国の閣僚級は欠席し、具体的な対策も打ち出せなかった。

 中国は企業の資金繰り悪化を防ぐための金融緩和などに乗り出している。それならば欠席せず、対策の内容や感染拡大の実態を含め正確な情報を発信すべきである。

 国際社会が一致して景気刺激策を打ち、効果を上げたリーマン危機時に比べ、協調姿勢がなかなか見えないことも気がかりだ。

 自国第一を掲げるトランプ米政権は中国と事あるごとに対立し、欧州との間の溝も深まっている。

 しかも日本など主要な中央銀行は大規模な金融緩和を長期間続けており、打つ手が限られる。財政出動の余地がある国も多くはない。だからこそ効果的な対策を打ち出すには国際協調が欠かせない。

 新型肺炎は消費税増税にあえぐ日本経済の脅威ともなってきた。

 政府は訪日客が落ち込む観光業や、部品調達が滞る製造業を中心に資金繰りなど実態を把握し、必要な対策を機動的に打つべきだ。

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