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デジタル課税 米の骨抜き案は論外だ

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 巨大IT企業などを対象とする「デジタル課税」の国際ルール作りが正念場を迎えている。

 経済協力開発機構(OECD)が示した骨格案について、日本など137の国・地域が大筋合意した。年内の最終合意を目指す。

 GAFAと呼ばれるグーグルやアマゾンなどIT大手はネット経由で国境を越えて事業展開し、巨額の利益を上げている。だが現行ルールでは、支店など拠点がない国では適正に課税できていない。

 新ルールは一定規模以上の売上高があるグローバル企業を対象に、拠点の有無に関係なく、利用者がいる国が自国での売上高などに応じ課税できるようにする。

 課税逃れを防ぎ、公平な税負担の実現に向け一歩前進と言える。

 ただ、対象企業の範囲をどうするかといった課題は合意を持ち越した。IT大手を多く抱え、自国の税収減を警戒する米国がルールを骨抜きにする提案を行うなど、協議の行方は予断を許さない。

 最終合意できなければ、各国独自のデジタル課税導入が加速しかねず、混乱は必至だ。関係国は利害を超え、実効性のあるルール策定に全力を挙げなければならない。

 協議が見通せないのは、新ルールにのっとって納税するかどうかを各企業の判断に任せる「選択制」を米国が提案したことが大きい。

 企業が現行ルールを選べば、新ルールが形骸化するとして多くの国が反発した。当然である。

 それでも提案を却下せず継続協議とした。GAFAを抱える米国が離脱すれば、課税の枠組み自体が成り立たなくなるからだろう。

 新ルールは、米IT大手の狙い撃ちを嫌う米国に配慮し、対象をIT以外にも広げた経緯がある。

 選択制を提案したのは、対象に加わる可能性がある米製薬会社の意向を受けたとの見方もある。トランプ米政権が自国の利益を優先し、国際社会を振り回す構図だ。

 最終合意までの経過措置として、フランスなどは独自課税の導入に動きだしている。反発する米国はフランスに報復関税をちらつかせ、一時凍結に追い込んだ。

 だが高関税で脅して自身の要求を通す米国のやり方は、国際課税の適正化を阻むばかりか、世界経済を混乱させる。それは米中貿易摩擦でも示された。

 米国がなすべきは脅しではなく、一致点を見いだす外交努力だ。

 日本は国際的な枠組みづくりを主導してきた。OECD案に足並みをそろえるよう米国に協調を促し、合意に導くことが求められる。

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