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道予算案 知事の信念が見えない

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 鈴木直道知事が2020年度の道予算案を発表した。一般会計の総額は2兆8201億円で、知事選を受けた補正後の20年度予算とほぼ同額となった。

 重点政策には、札幌でマラソンと競歩を開く夏の東京五輪や、4月に胆振管内白老町で開業するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」などの関連事業が並ぶ。

 国家プロジェクトや国が推進する施策に便乗したようなものが目立ち、鈴木知事の政策的な信念がどこにあるのか判然としない。

 全国最悪の財政難に苦しみ、独自の事業を展開する余地が少ないのは理解するが、物足りない。

 鈴木知事は、人口減などの日本が抱える課題を解決する「フロントランナー(先駆者)になる」と語る。その言葉の通り、国に頼らずとも道民が希望が持てる北海道の針路を示してほしい。

 焦点だったカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の将来的な誘致に向けた関連経費の計上は見送った。

 北海道が舞台の一つとなったIR汚職事件による批判の高まりを踏まえれば当然の判断だろう。

 ところが、鈴木知事は予算案発表の記者会見で誘致の検討を続ける考えを強調した。

 IRを経済成長の柱に据える安倍晋三政権と歩調を合わせて中途半端な姿勢をとり続けるよりも、カジノ抜きで北海道らしい観光のあり方を探るべきではないか。

 ウポポイの関連事業は、政府が掲げる「年間100万人来場」の目標に沿って観光面に重きが置かれている。開業を機に、アイヌ民族の権利回復に向けた取り組みを強化するといった視点は乏しい。

 重点政策に、広大な面積を持つ道内の交通対策として、情報通信技術(ICT)を使って異なる交通手段の検索や予約、決済を一括で行える「MaaS(マース)」の実証実験などを盛り込んだ。

 これも人口減対策などに新技術を活用する政府の「ソサエティー5・0」を意識したものだが、より差し迫った課題であるJR北海道の赤字路線問題にどう対処するのか、予算案からは分からない。

 収入から借金返済に充てる額の割合を示す実質公債費比率が6年後に25%に迫ると予想される。破綻が危ぶまれる「早期健全化団体」に指定される水準だ。

 それなのに、立て直しの工夫の跡は見えない。知事には、たとえ公約の事業であっても聖域を設けずに切り込む覚悟が求められる。

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