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森氏の答弁 法の支配否定する暴論

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 検察官の定年延長を巡り、法務省のトップが国会で支離滅裂な答弁を重ね、ついには「法の支配」を否定するような発言をした。

 看過できない。

 森雅子法相はきのうの衆院予算委員会で、法律の規定について「前に適用されなかったことが適用されるように(法)解釈することはある」と述べた。

 法律の制定時に政府が認めていなかった解釈を後に変更し、法の適用対象を変えることを当然視する認識を示したものだ。

 驚くほかない。

 それを認めては国会も、三権分立も成り立たなくなる。

 国会は国権の最高機関であり、政府は国会で定めた法律に従わなければならない。政府の都合で法の解釈を覆していいはずがない。

 法相は法の秩序維持を担う。

 森氏は法相にふさわしくないと言わざるを得ない。

 この発言は、東京高検の黒川弘務検事長の定年延長に伴い、法解釈を変更したことを問われた際に飛び出した。

 安倍晋三政権は憲法解釈を強引に変更して集団的自衛権の行使を可能にし、違憲の疑いが濃い安全保障関連法を成立させた。

 法相の見解は、安倍政権の「法の支配」を軽視する姿勢を象徴するものと言えよう。

 そもそも検察官の定年は特別法の検察庁法で定められ、一般法の国家公務員法の定年延長規定からは除外されている。

 これが1981年の人事院の法解釈であり、政府の見解だった。

 検察官の職務の特殊性を踏まえれば当然である。

 しかし法相は10日、人事院の解釈について「詳細は知らない」とし、85年の改正国家公務員法施行時から検察官も勤務延長制度が適用されているとの認識を示した。

 その2日後、人事院が過去の法解釈を「現在まで引き継いでいる。特に議論はない」と明言した。

 そのため、首相が法解釈の変更を表明したというのが実情だろう。つじつま合わせの後付けの対応だったことは疑いようがない。

 法相は法解釈変更前の先月下旬、内閣法制局と人事院の理解を得た上での決定だとも説明した。

 そうなると人事院の説明と食い違うことになり、人事院は答弁撤回に追い込まれた。

 そこには政権への忖度(そんたく)が垣間見え、人事院の独立性は影もない。

 検事長の定年延長には検察内部からも説明を求める声が出ている。政府は撤回するのが筋だろう。

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