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食料自給率 失政覆う数値かさ上げ

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 農林水産省が、2030年度の食料自給率目標として、輸入飼料を与えた国内の畜産物を「国産」に含めた数値を新たに設定する方針を示した。

 政府は現在、25年度にカロリーベースの自給率を45%に引き上げる目標を掲げている。18年度実績は過去最低の37%にまで落ち込んだが、新たな算定方法で計算し直すと46%に跳ね上がる。

 農産物の市場開放を優先し、自給率低迷を放置する安倍晋三政権の「攻めの農政」の欠陥を覆い隠そうとしている。そう勘繰られても仕方あるまい。

 安直な数値のかさ上げで、輸入飼料に依存する畜産業の実態を見えにくくするのは大いに問題だ。

 新しい自給率目標は、今春改定される農政指針「食料・農業・農村基本計画」に明示される。輸入飼料を与えた畜産物を除いた従来方式の指標と併記するという。

 今回の措置について、農水省は「畜産農家の生産努力を反映させ、国産品を購入する消費者の実感を高めるため」と説明するが、姑息(こそく)以外の何物でもない。

 輸入飼料を与えた畜産物は統計上、国産に含まれなかっただけであって、店頭で輸入品扱いされているわけでも、消費者が国産品と認めていないわけでもない。

 政府に問いたいのは、そもそもなぜ食料自給率向上を政策目標としてきたのかということである。

 地球規模で見れば、途上国の人口増、気候変動、疫病、戦争などで、いつ食料争奪戦が起きても不思議はない。自給率は、輸入を絶たれた場合でも国民の食を守れるかどうかの目安であるはずだ。

 新たな指標は輸入飼料への依存度をさらに高めかねず、政策本来の趣旨に逆行している。

 背景として思い当たるのが昨夏の日米首脳会談である。首相はトランプ大統領の要請をのみ、米中貿易摩擦でだぶついた飼料用トウモロコシの大量輸入を約束した。

 トウモロコシの輸入が増えても自給率が上がる算定方法をわざわざ用いるのは、農家のためではなく、日米両首脳にとって政治的に好都合だからではないのか。

 これは「国産飼料に立脚した畜産の確立」を掲げ、コメ農家に飼料用米への転作を促してきた従来の農政とは明らかに矛盾する。

 安倍政権は以前にも「国際基準に合わせる」などの理由で、国内総生産(GDP)を年間30兆円規模かさ上げした。経済指標を恣意(しい)的に扱い、成果を誇示するのはいいかげんにやめるべきだ。

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