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検察官の定年 恣意的法解釈 許されぬ

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 安倍晋三政権は法を順守する姿勢が欠けていると言うほかない。

 首相は東京高検の黒川弘務検事長の定年延長について、人事院による従来の政府見解を変更し「国家公務員法が適用される」との新たな法解釈をした上で閣議決定したことを明らかにした。

 人事院は1981年、国家公務員法の定年延長規定に関し「検察官には適用されない」との見解を示し、今国会でもこの法解釈を踏襲していると答弁していた。

 この見解と、閣議決定との矛盾を国会で問われ、付け焼き刃的に法解釈を変更したのではないか。

 そもそも検察官の定年は職務の特殊性から特別法の検察庁法で定められ、延長の規定はない。

 定年延長が必要なら国会審議を経て法改正するのが筋だ。

 政府は三権分立の下、国会で定められた法律に従い、行政を運営する責務がある。法の支配は民主主義の根幹だ。

 時の内閣が恣意(しい)的に法解釈を変えることは許されない。

 黒川氏は菅義偉官房長官ら官邸首脳からの信頼が厚いとされる。

 本来なら検察庁法に基づき、63歳の誕生日前日の今月7日に退官する予定だったが、定年が半年延長され、65歳が定年の検事総長に就くことが可能になった。

 政府は総長人事は未定としながらも黒川氏の就任は否定しておらず、官邸介入の疑念は拭えない。

 理解し難いのは森雅子法相の国会答弁だ。

 首相が法解釈変更を表明する前の今月10日、人事院の定年延長に関する81年の見解について「詳細は知らない」と述べていた。

 所管大臣が過去の政府見解を知らないでは済まされない。

 17日には、今年1月に法解釈を変更したと述べた。

 過去の法解釈を知らないのに、なぜ法解釈を変更する必要があったのか。明らかに矛盾する。

 さらに法相は、国家公務員の定年引き上げに関する検討の一環で、検察官の定年延長についての法解釈を変えたとも述べた。

 ならば公務員の定年を引き上げるのが先だろう。まさに泥縄式の説明と言える。

 安倍政権は14年、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。その解釈変更をもとに翌年、違憲の疑いが濃い安全保障関連法を成立させた。

 身勝手な法解釈は目に余る。

 憲法をはじめとする法律は、政府のためではなく、国民個々のためにある。肝に銘じるべきだ。

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