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「ブラックバイト」道内でも後絶たず 長時間労働、残業代不払い、正社員並みの責任… 北海学園大生が「白書」 実態浮き彫りに

 学業と両立が難しくなるような長時間や過酷な労働を強いられる「ブラックバイト」が社会問題となる中、道内でも被害に遭う学生が後を絶たない。北海学園大生がまとめた「学生アルバイト白書2019」からも、残業代の不払いや休憩時間を取らせてもらえないなど、不当な働き方を強いられている実態があらためて浮き彫りになった。

 「なんで入店させてくれないんだっ!」。札幌市内のインターネットカフェでアルバイトしていた市内の大学に通う女性(20)は昨年3月、提示が必要な身分証のない3人の男性客の入店を断ったところ、囲まれて数時間にわたり怒鳴られた。

 その時、店にいた従業員はアルバイトだけ。社員に電話をかけてもつながらず、当時アルバイトリーダーだったこの女性が対応せざるを得なかった。

 翌日、女性は布団から出られなくなり、アルバイトは辞めた。人が怖くて地下鉄にもしばらく乗れず、受診した医療機関でパニック障害と診断された。あれから1年近くたった今でも精神安定剤を服用している。「十分な研修もないままに、責任ある仕事を任せられて、とても負担だった。ブラックバイトだったと思う」と振り返る。

■学業に支障

 ブラックバイトは、中京大の大内裕和教授(教育社会学)が4年前、ブラック企業になぞらえて名付けた。「残業代を支払われない」「一方的に急なシフト変更を命じられた」など、法令違反や学生が学業に支障をきたすほどの労働を強いられる状況をいい、社会問題になっている。

 学生アルバイトの実態について毎年ゼミ生とともに調査・研究している北海学園大の川村雅則教授(労働経済学)は「今の学生のアルバイトは、親世代が経験した補助的な存在ではなく、店を1人で任されたり、ノルマを課されたりして、基幹労働力と化している。企業の正社員が減らされる中、正社員並みの仕事と責任を求められるようになっている」と指摘する。

 学生アルバイトでも商品などの発注業務や施錠、現金の管理まで任され、真面目な学生ほど「自分が抜けると業務に支障がでる」と思い込み、追い詰められる現状があるという。

■権利学んで

 学生アルバイト白書は、川村教授のゼミ生が毎年作成している。19年版は、ゼミ生25人が北海学園大の1部と2部(夜間)の学生計1184人を対象に昨年10~11月にアンケートを行い、今年1月にまとめた。

 白書によると、大学入学後、アルバイトをした経験があるのは全体の92%で、1週間の勤務時間は「15~20時間未満」が最も多かった。アルバイトでの悩みや困った経験(複数回答可)では、「人手不足」(37%)、「急に早あがりや休みになる」(33%)、「急な出勤、勤務の増」(28%)、「求人情報の内容と労働条件が異なる」(23%)といった回答が多かった。

 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩を労働者に与えるよう定めているが、「1日に9時間労働しても1分も休みがない(居酒屋)」「1日の労働時間が11時間(コンビニ)」などの声もあった。

 このほか「有給休暇が取れない(飲食店)」「タイムカードを切った後に働かされる(飲食店)」など労働条件に法的な問題があっても、ワークルールを知らなかったり、疑問に思ってもアルバイトという弱い立場上、口に出せなかったりする状況も浮かび上がった。

 白書の作成に携わった小川佳那子さん(2年)は「学生も労働に関する法律や権利を学ぶ必要がある」と話し、個人でできる自衛策として「雇用契約書や労働条件を確認したり、困った時には労働組合や弁護士など専門家に相談することが大事」と呼びかける。

 白書は川村教授のホームページ(http://www.econ.hokkai-s-u.ac.jp/~masanori/education.top.htm)で公表している。(根岸寛子)

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