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<みなぶん>路線バス、曲がり角の先は? (1)運転手不足、全道825便減

 825便。この数字は何か。道内の路線バスのうち、この冬のダイヤ改正で「運転手不足」を理由に減った便数だ。北海道運輸局が初めて調査。全便数の統計はないが、路線バスを取り巻く環境は、年々深刻さを増す。身近な足が細ると、どんな影響が出るのか―。読者の疑問に答える「みなぶん特報班」(みんなで探る ぶんぶん特報班)は昨年末、紙面や無料通信アプリ「LINE」などで読者に問いかけた。すると、次々と悲痛な声が寄せられた。

■利用者いたのに

 「最終便が早まり、仕事に影響が出ている」。LINEのメッセージが目に留まり、投稿した札幌市豊平区の女性(44)に会った。

 「以前は地下鉄の終電に合わせ、駅からバスの最終便も出ていたのに…」。女性は札幌中心部の商業施設でアルバイトをしている。月数回、午前0時まで勤務し、0時半の最終バスで帰宅していた。2018年末のダイヤ改正で最終便の時間が約30分早まり、深夜勤務ができなくなった。

 時給の高い深夜勤務がなくなると、月収は最大1万円減った。正社員を目指すため、深夜勤務の経験も積みたかった。家族と一緒に住んでおり、引っ越しもできない。減便前の最終バスは座れないほど混んでいたから「必要とされる便をどうして減らしたのか」。納得できない。

 この路線を運行する北海道中央バス(小樽)に取材した。「これ以上、無理な運行はできない」。担当者は吐露する。運転手が5年間で100人超減った。ダイヤを維持できず、市内の最終便を10~30分前倒しする改正が近年続いている。

■都市部でも急減

 運輸局によると、運転手不足による減便数は、札幌運輸支局(石狩、後志、中・南空知)の管内が全体の7割を占め、大半が札幌市内の路線だ。道内第2の都市・旭川市でも今冬、旭川電気軌道(旭川)が中高生用の通学路線を含む6系統を廃止。路線の縮小は過疎地だけでなく、都市部でも急速に進む。運輸局が初めて調査したのも、そうした危機感からだ。

 札幌市北区郊外に暮らす会社員工藤麻希さん(44)も「最近バスが減便され、地下鉄から乗り換える際の待ち時間が以前より長くなった。冬の夜は寒さで過酷」とLINEで声を寄せた。「でも、札幌はまだ本数がある。地方に住む夫の両親はもっと大変」と教えてくれた。

 美唄市に住む義父の工藤勝善さん(77)。岩見沢市に向かう最寄りのバス停の運行本数は、平日7本、土日祝日5本で、7年前より半数近く減った。13年3月に沿線の専修道短大が閉校し、学生がいなくなった。

 工藤さんは自ら車を運転し、岩見沢へ買い物に行く。今はバスに乗る機会は少ないが、80歳を迎えたら免許の自主返納も検討している。「バスは不便。いずれ高齢者施設に移ることも考えないといけないかな」

 道内の路線バスの乗客数は、1990年度に約3億7千万人だったが、17年度は約1億8千万人に半減。背景に人口減や車の普及がある。一方、全道で高齢化が加速し、自ら運転できない人を支える公共交通網の重要性は増すばかり。だが、バス会社は運転手不足で悲鳴を上げる。深刻さを伝える投稿が、苫小牧市の女性から寄せられた。

 「昨年3月、通勤で使うバスでストライキ予告があったんです」。何が起きていたのか―。取材に向かった。(五十嵐俊介)

 北海道内で路線バスの廃線や減便が相次いでいます。背景に運転手不足などがあり、札幌を含めた都市部でも路線が縮小しています。路線バスの廃線や減便で、困ったり、新たに負担が生じたりした体験談や、ご意見を募集しています。
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