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風の電話とクルド人

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「風の電話」は岩手県大槌町の丘の上にある。電話ボックスの中の黒電話は線につながっていない。しかし東日本大震災で亡くなった大切な人たちに思いを伝えることができる、と多くの人が訪れる▼同名の映画が今週末、札幌などで公開される。主人公の女子高校生は震災で家族を失い、広島で生活していたが、故郷の大槌町にヒッチハイクをしながら戻る。その間さまざまな境遇の人たちと出会い、少しずつ自分を取り戻していく▼埼玉県ではトルコ出身のクルド人たちに励まされる。彼らは国家を持たない世界最大の民族と呼ばれる。トルコで長く抑圧され、各地に難民として逃れている。日本にも2千人ほどが暮らす。だがこの国では過去に1人も難民認定されていない▼映画に出演する44歳のアリさんもその1人。17歳で日本に来た。トルコに戻れば迫害されると出国を拒み、4年余り入管施設に入れられた▼一時的に収容を解かれているが、就労は禁じられ、移動は制限される。日本国籍の妻と結婚して11年。それでも在留が許されない。「ふるさとがあればここまで苦労しない」。アリさんが語る言葉は重い▼クルド人に限らず、日本の難民認定の少なさは先進国で際立つ。人手不足解消で働く外国人は増やしたいのに、故郷に戻れない外国人には冷たい。札幌でも難民認定を求めるクルド人が法廷で争う。彼らの思いに耳を傾けたい。2020・1・22

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