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習主席今春来日 懸案直視し真の協調を

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 中国の習近平国家主席が今春、国賓として来日する。国家主席の国賓訪問は2008年の胡錦濤氏以来、12年ぶりとなる。

 日中は「一衣帯水」の隣国で、しかも世界第2、3位の経済大国だ。両国の協調は東アジアだけでなく、世界の安定に寄与しよう。

 ただ中国は急成長した経済力に物を言わせる形で、人権や安全保障、新興国支援などにおいて独善的な対応が目立つ。

 言論の自由や民主主義の原則など基本的な価値観が共有できなければ、真の協調関係は築けまい。

 首脳同士が直接協議すべき懸案は山積している。

 国賓として迎えるための友好ムードの演出に前のめりになるあまり、懸案の解決を置き去りにするようなことがあってはならない。

 日中関係は政府要人の相互往来が活発化するなど改善機運にある。しかし主権を巡る問題では、中国が以前にも増して挑発的な動きを強めており、看過できない。

 昨年は沖縄県・尖閣諸島周辺への領海侵入が30日超に及んだ。接続水域の航行は、延べ千隻を超えて過去最多となり、今年も元日から16日連続で確認されている。

 スパイ行為などを理由にした日本人の拘束事案も後を絶たない。

 政府は中国側に自制や前向きな対応を強く求める必要がある。

 中国は人権への意識も乏しいと言うほかない。香港のデモや新疆ウイグル自治区などの少数民族問題で圧力を強める。個人情報の保護にも積極的とは言えない。

 経済圏構想「一帯一路」を巡っては、協力と引き換えに、軍事的な権益拡大を図る動きもある。

 こうした状況が是正されないまま、習氏を国賓待遇とすることに自民党内では異論が出ている。

 気になるのは、習氏来日の成果として、新時代の日中関係を定義する「第5の政治文書」の作成が検討され始めたことだ。

 日中間には1972年の日中共同声明など、四つの重要な政治文書がある。

 08年の共同声明では戦略的互恵関係の推進をうたったが、12年の尖閣国有化などを機に、日中関係は長く冷え込んだ。政治文書を急ぐより、個別の懸案解決に道筋をつけることが先ではないか。

 一昨年以降、中国が日本に接近してきた背景には、米国との経済、安全保障を巡る対立がある。

 日本は米中のはざまで、両国との距離をどう取り、国益に結びつけていくのか。複層的な外交戦略が欠かせない。

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