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ニセコ投資、周辺に拡大 「ひらふ」適地減少 100億円規模続々

 【倶知安、ニセコ】スノーリゾートの開発が相次ぐ後志管内のニセコ地域(倶知安、ニセコ町)で、巨大投資案件が中心地の「ひらふ地区」から比較的余地のある他のスキー場近くへと分散している。投資の主力は豊富な資金力を持つアジア系企業。100億円を超える規模の複数の投資が同時に進む中、温泉資源不足などの課題がひらふ周辺以外に広がるとの懸念も生じ始めている。


 「現在の計画だけではない。さらなるホテル開発計画も持っている」。ニセコ東山地区に大規模リゾート「ニセコビレッジ」を保有、運営するマレーシア企業、YTLホテルズ&プロパティーズのマーク・ヨー社長は今月上旬に来日し、計画する「リッツ・カールトンリザーブ」など3件の大規模ホテルの竣工(しゅんこう)後も投資を継続する意向を示した。

■高まるスキー人気

 YTLはマレーシア最大級の財閥。世界のさまざまな資産に投資しているが「東南アジアでは冬の過ごし方としてスキーの人気が高まっている」として、ニセコビレッジに年50億円の投資を続ける考えだ。

 ひらふ地区中心だった開発が周辺へ広がっているのは、ひらふで開発可能な土地が減ってきたためだ。ニセコモイワスキー場周辺でも大規模投資が本格化。2023年に「アマンニセコ」のブランドで販売価格が1棟20億円の超高級別荘やホテルが建設される。シンガポール本拠のチャータードグループに属する投資会社、ウェルスプリング・インベストメンツ・ホールディングスが400億円規模の資金を投じ、主に東南アジアから客を呼び込む。

■新幹線開通見据え

 30年度開通予定の新幹線駅に近い花園地区は、スキー場がありながら大きな宿泊施設がなかったが、スキー場を持つ香港通信大手系の開発会社PCPDが20年1月20日に「パークハイアット」ブランドで宿泊施設を開業する。別の香港系企業も来春、地区内で高級リゾート開発に着工する。

■地域全体の集客に

 急ピッチで進む周辺地域の開発を、ひらふ地区の事業者もおおむね好意的にみている。「ニセコ地域全体が開発され、滞在者が増えるのは悪いことではない」(ひらふ地区のホテル運営会社)。外国人観光客が増える中、分散による顧客争奪への不安よりも、ニセコ地域全体の集客力アップへの期待が高まっている。

 いまのところ、開発案件はスキー場近くに集中しているが、今後はその範囲も広がりそうだ。最寄りのスキー場から車で5分ほど離れたホテル跡地を10年ほど前に購入した外国人投資家は「立地の良い場所の開発が始まらないため、自社の土地の開発には手をつけなかった」という。周辺部のスキー場近くで開発が本格化してきたことを「大きな刺激」とし、「動かなかった土地の開発が始まる契機になる」と投資の機会をうかがっていた。


■森林伐採、温泉枯渇…懸念も拡散

 開発範囲の広がりにより、後志管内倶知安町のひらふ地区周辺で顕在化してきた課題が、ニセコ地域の他のエリアにも広がり始めている。

 「ニセコの魅力は豊富な自然。木を切って建物を建てることが、魅力向上につながるのか」。今月、同管内ニセコ町で開かれた宿泊施設の建設に関する住民説明会では、開発事業者への鋭い質問が相次いだ。

 ひらふ地区に比べて、緩やかに開発が進んできたニセコ町。ただ、ここ数年、開発を巡る事業者の問い合わせは増加しており、「町民から心配の声も出ている」(町の担当者)という。

 宿泊施設開発による温泉の掘削増による資源枯渇も懸念材料だ。道は11月、ひらふ地区を新たな温泉掘削を認めない「保護地域」などに指定するかどうかの検討を開始した。

 だが、道によれば倶知安、ニセコ両町内ではひらふ地区以外での掘削許可件数も2017年度の1件から、18年度に5件に増えた。

 19年度上半期も2件あり、道は「規制の範囲がひらふ地区だけでいいのか、議論が今後必要」としている。

 外国人客のニセコ人気を支える「パウダースノー」は、宿泊施設が増え早朝から滑る人が多いため、粉状ではなくなり楽しめなくなっているとの指摘もある。地元ガイドによると、ニセコを諦めて客を近隣の他のリゾートに連れて行くことも珍しくない。

 ニセコウィンターガイド協会の高梨穣会長は「ニセコのパウダースノーはここにしかない価値あるもの。多くの人が楽しめる環境づくりが必要」と話す。(宇野沢晋一郎、高橋祐二)

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