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共同親権 子どもの利益最優先で

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 離婚後の子の養育のあり方を考える法務省の研究会が発足した。

 民法は一方の親だけに親権を認める単独親権制だが、父母が親権をもつ共同親権制の導入の可否などを1年以上かけて検討する。

 単独親権制を巡っては、8都道府県の男女12人が憲法の「法の下の平等」に反するとして集団提訴するなど、違憲訴訟が続く。

 男性の育児参加も増える中、離婚しても子どもと関わりたいという声の高まりは理解できる。

 一方で、共同親権の導入については慎重な意見も根強い。

 特に、背景にドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待が潜む場合、被害者の安全を脅かし、再出発を妨げる恐れがある。

 日本は先進国で唯一、単独親権制をとる。法改正を求める国連子どもの権利委員会の勧告もあり、積極的な対応が求められる。

 多くの課題をどう整理し、子の最善の利益の実現につなげていくか、丁寧な議論を進めるべきだ。

 親権は、未成年の子を養育するための権利と義務を指す。

 日本では裁判所を介さない協議離婚が9割を占める。面会交流や養育費の分担の取り決めが不十分な上、不履行も少なくない。

 訴訟はそうした不満の反映と言えるが、夫婦関係の破綻が親子の別れとなる現状は、子どもにとって理不尽だろう。

 他方、共同親権制は欧米などで主流だ。子どもの権利条約を踏まえ、離婚後の父母との関わりは「子の権利」との認識が広がる。

 一方の親によって国外に連れ去られた子の返還を定めるハーグ条約には日本も加盟しており、適正な対応が要求されている。

 子の福祉という観点に立つならば、現状でも打つべき手はある。

 離婚調停前に、両親に離婚後の子の養育を考えさせる旭川家裁の「親ガイダンス」はその一つだ。

 兵庫県明石市が進める、自治体による面会交流の仲介や不払い養育費の回収の支援も広げたい。

 こうした態勢があってはじめて、共同親権制も意味を持とう。

 その際、DVや児童虐待のリスクを見逃さず、加害者の親権を適切に制限するのは当然だ。

 両親の板挟みになる子の意思を尊重するため、アドボケイト(代弁者)の活用も検討されてよい。

 日本の単独親権制は、家父長制の名残でもある。2011年の民法改正で、離婚の際は「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と明記された。その精神に立ち返り、議論を深めたい。

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