旧ソ連の北方四島占領やその後の平和条約締結交渉には、常に米国の影がつきまとってきた。ウクライナ問題などを巡る米ロ対立が「新冷戦」とも呼ばれる中、複雑に絡み合う3カ国の関係を振り返り、各国の専門家に展望などを聞いた。
■「国益」にほんろう
北方領土は、米国の「国益」に深くつながってきた。米国は1945年のヤルタ協定で、「クリール諸島(北方四島と千島列島)」の旧ソ連への引き渡しを密約。145隻の艦船を旧ソ連に無償貸与する極秘作戦「プロジェクト・フラ」を展開し、一部艦船がソ連軍の北方四島侵攻に使われたことも明らかになった。対日戦争で米軍の被害を最小限に抑える狙いがあったからだ。