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出所者雇用、居酒屋「おかえり」 札幌の弁護士 15日ススキノに開店

 刑務所からの出所者を雇用して社会復帰を後押ししようと、札幌市内の弁護士が15日、札幌・ススキノで居酒屋「おかえり」をオープンさせる。長年刑事事件に関わった経験から「再犯を防ぐには仕事の楽しみを知ってもらうのが一番」と10年来の構想を実現。誰もが分け隔てなく楽しめる店を目指し「こだわりの酒と料理で、出所者と一般客の垣根を取り除きたい」と張り切っている。

 「一日ずつ懸命に働き、恩を返したい」。過去に傷害罪で4年半服役した経験を持つ店長の男性(39)は、1人で切り盛りするカウンターの中で静かに語った。店内では本名を名乗り、過去についても隠さず接客。経営する中村浩士弁護士(44)が「向上心にあふれ頼もしい。私の右腕です」と紹介すると、照れくさそうに笑った。

 中村弁護士は2005年まで5年間、札幌地検などで検察官を務めたが、刑務所への入退所を繰り返す被告たちの姿に「更生を後押ししたい」と弁護士に転身。偏見におびえ、なかなか一つの職場に定着できない出所者の実態に触れ、「出所者が誇りや希望を持って働ける職場が必要だ」と出店構想を温めていた。

 店長の男性は、飲食店経営のノウハウを身につけようと中村弁護士が昨年7月まで知人と経営していた居酒屋でアルバイトしていた。当初は前科を伏せていたが、中村弁護士の構想に共感し、過去を告白。「経営リスクを抱えてまで支援する熱意に、胸が熱くなった」

 美食家で「★酒師(ききざけし)」などの資格も持つ中村弁護士がメニューを考案。佐賀牛のしゃぶしゃぶや焼き肉、全国から取り寄せたこだわりの日本酒がおすすめだ。ワインは中村弁護士が所蔵する700本の中から、おすすめの逸品を提供する。

 店名には出所者らに気軽に立ち寄ってほしいとの思いを込めた。出所間もない元受刑者向けに、酒2杯と料理3品を格安で提供する「おかえりセット」(1800円)も用意。中村弁護士は「思い詰める前にここに来て悩みを共有し、前向きに歩んでもらえたら」と話す。

 目標は売り上げを伸ばして店を増やし、雇用の受け入れを拡大すること。収益は被害者支援にも活用する方針だ。(角田悠馬)

 店は同市中央区南5西6。問い合わせは同店(電)011・222・9311へ。
(注)★は、へんが「口」つくりが「利」

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