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どうなる就活(1) 政府と周辺の動き 高度技術社会 対応探る

 大学生の就職活動(就活)の解禁日は長年、経団連の採用指針が目安になってきたが、今の4年生(2020年春卒)を最後に廃止され、代わって政府が日程調整を進めている。新たな枠組みの最初の就活が本格的に始まるのを前に、これから就活がどのように変わっていくのかを4回に分けて展望する。初回は政府と関係団体の動きを探る。(道新夢さぽ取材班 青山実)

 「2021年度は昨年度と同じ日程を踏襲」。10月30日、政府決定の場となる関係省庁連絡会議は、今の2年生(22年春卒)の就活解禁日を決めて発表した。採用目的の企業説明会は3年生の3月、選考は4年生の6月で、17年春卒以来、6年連続で同じ日程となる。

 政府は、今の4年生までは経団連の指針と大学の団体の代表が集まる就職問題懇談会(就問懇)の申し合わせを受けて、多数の経済団体を通じて企業に日程などの順守を要請する「つなぎ役」だったが、その後は自ら決める「主役」に変わった。

 日程の検討に際しては、これまでの経緯からオブザーバーを依頼した経団連と就問懇からも意見を聞くが、重要な判断材料として「議論の行方を注視している」(内閣官房)のが、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」だ。産学協議会は経団連と国公私立大のトップが集まり今年1月に発足。次の時代の社会として人工知能(AI)など高度な先進技術で広範な課題解決を図る「Society(ソサエティ)5.0」に対応できる人材育成を目指し、大学教育や中長期的な採用のあり方考える。

■スキル重視通年採用も

 重要議題の一つが通年採用だ。4月の中間報告では「新卒一括採用に加え、ジョブ型雇用の採用も含む複線的で多様な採用形態」を共同提言した。ジョブ型雇用とは「専門スキル(技術)を重視した通年での採用、留学生や海外留学経験者の採用」と説明。だが「通年採用」の意味は詰めておらず、「高い能力があれば学部の1、2年生でも」(経団連関係者)との声や、「4年生の選考解禁後に限る」(大学関係者)との主張もあり、まだ同床異夢の状態だ。

■1、2年生から就業体験

 インターンシップ(就業体験)も見直す。中間報告では業界や企業理解に役立つとの見方は従来と同じだが、1、2年生は「企業内での実戦的なキャリア教育」として行うことで学業への動機付けにもなるとし、3年生以上は長期のインターンシップに重点を置くことが効果があるとしている。全ての議論の最終結果がまとまるのは「来年春の予定」(経団連)だ。

 関係省庁連絡会議は今回の発表で今の1年生の就活解禁日も変えない方針を示唆しているが、手順としては産学協議会の通年採用などの結論と、さらには成長戦略を考える国の未来投資会議の議論や採用活動の早期化問題も視野に入れて日程を毎年決めていく。これからの就活は未知数の部分がまだ多いものの、新しい社会づくりを大きな背景にして、比較的早めには1、2年生の就業体験や専門性を高めた長期的なインターンシップなどが広がりそうだ。いずれ新卒一括採用に加えて別の採用形態がじわりと出てくることも予想される。

<ことば>経団連 正式名称は日本経済団体連合会。大手企業約1400社などを会員とする日本の代表的な経済団体。広範な政策提言を行い、政治にも影響力を持つ。大学生などの新卒採用に際し毎年、会員企業向けに「採用選考に関する指針」を定めて順守を求めてきたが、昨年10月、指針の形骸化を理由に廃止を決めた。

<ことば>関係省庁連絡会議 正式名称は就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議。学生が学修時間を確保しながら安心して就活ができるように就職・採用活動の日程を検討する。内閣官房、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の4省庁と、オブザーバーの経団連と就問懇で構成。議長は内閣官房副長官補。

<ことば>就問懇 正式名称は就職問題懇談会。国立大学協会など国公私立大、短大、高専関係の8団体で構成し、卒業予定者の就活のあり方について検討・協議している。学生が円滑に就活を行えるような統一的な取り組みを毎年「申し合わせ」として定め、全国の大学などに周知する一方、接触する企業にも要請している。

<ことば>Society5.0 人工知能(AI)やロボット、ビッグデータなど高度先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す構想。狩猟、農耕、工業、情報の各社会に続く新たな社会を指す。2016年1月に閣議決定された国の「第5期科学技術基本計画」の中で初めて登場した。

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