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#北方領土考

<私のなかの歴史・宮谷内亮一さん>四島とともに(1)創立60周年 返還要求、一枚岩で推進=千島歯舞諸島居住者連盟根室支部長

千島連盟根室支部の本年度総会であいさつする私=4月22日、根室市の千島会館
千島連盟根室支部の本年度総会であいさつする私=4月22日、根室市の千島会館

 2016年12月15日、ロシアのプーチン大統領が来日し、安倍晋三首相と山口県長門市で首脳会談を行いました。私は、北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の脇紀美夫理事長、長谷川俊輔根室市長らと共に、根室市の道立北方四島交流センターで記者会見に臨みました。

 <みやうち・りょういち>1943年、国後島留夜別(るやべつ)村生まれ。旧ソ連軍の北方領土侵攻後の45年12月、親族9人で島を脱出して根室町(当時)に移住。翌年、一家で奥尻島に渡り、52年に再び根室に戻った。根室高を卒業後、根室市役所に就職し、水産経済部長などを務めた。2007年から千島歯舞諸島居住者連盟理事、11年から現職。根室市在住。75歳。 ※18年6月13日夕刊に掲載


 報道陣は約50人。根室にこれほど多くの記者らが詰めかけたのは、1991年4月に旧ソ連のゴルバチョフ大統領が来日した時以来のことでしょう。日本中の関心が長門と根室に集まっていると実感しました。
 71年前の45年(昭和20年)の同じ日は、くしくも私たち親族9人が、旧ソ連軍に占領された故郷・国後島から決死の覚悟で脱出した日でもありました。私は運命的なものも感じ、「一歩でも半歩でも領土交渉が前進してほしい」と願いながら、記者会見場に設置されたテレビで会談の推移を見守りました。

 しかし、会談は非常に残念な結果に終わりました。両首脳は北方四島での日ロ共同経済活動の協議開始と北方領土墓参の改善で合意しましたが、領土交渉は進展しませんでした。「目に見える結果が出ていない」。記者の質問にはそう答えました。

 あの時からさらに1年半、元島民は73年待ってきました。敗戦時の北方四島の人口は1万7291人でしたが、今年3月末時点の元島民はその約35%の6041人。平均年齢は83・2歳です。10年たてば元島民はいなくなるのではないかという焦りがあります。北方領土問題の解決が急がれます。

 合意を受け現在日ロ間で協議が行われている共同経済活動に対しては、「ロシアの実効支配を強める」と危惧する見方が元島民の間にあります。
 しかし根室は旧ソ連に領土を奪われ打撃を受け、現在はロシア200カイリ内サケ・マス流し網漁禁止などで地域経済はいよいよ冷え込んでいます。根室に元気がなくなれば、人口減少が加速し北方領土返還要求運動の担い手も減っていきます。私は共同経済活動が具体化することで、根室が四島の玄関口としての地位を少しでも取り戻し活気づけばと期待をつないでいます。

 ただし、共同経済活動は領土問題の解決に必ずつながらなければなりません。元島民が島に残してきた土地や財産の問題に対しても、政府は必要な措置を講じるべきです。

 千島連盟15支部中、最多の664人の会員が所属する根室支部は今年、創立60周年を迎えました。大変な思いで領土返還要求運動を続けてきた先人たちに敬意を表し、運動をさらに続ける決意を新たにする年にしたいと考えています。4月22日に根室市の千島会館で開いた根室支部の総会で、私は「諸先輩の遺志を継ぎ、元島民と後継者が一枚岩になってさらに返還運動を推進していこう」と呼び掛けました。(聞き手・犬飼裕一)

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