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1日から消費税10% 暮らしの安心が見えない

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 消費税率がきょう、8%から10%へと引き上げられた。3%で導入されてから30年。2桁に乗った税率が消費者に重くのしかかる。

 交通運賃や公共料金を含め幅広い分野で増税分が価格に転嫁された。物流・人件費高騰で食品などの値上げが既に相次いでいる。

 増税と値上げのダブルパンチで、暮らしへの影響が心配だ。

 それでなくても消費は伸び悩んでいる。金融庁が年金とは別に2千万円の老後資金が必要だとする報告書案を出したことなどで将来不安が増す中、増税で消費が落ち込めば景気が腰折れしかねない。

 政府は軽減税率や経済対策で消費を下支えするという。だが効果は疑わしく、制度も複雑で分かりにくい。企業の準備も十分とは言えず、混乱が避けられまい。

 増税の目的は国の借金を減らし負担先送りに歯止めをかけ、社会保障を充実させることのはずだ。

 それなのに安倍晋三政権は使い道の一部を借金返済から教育無償化に変更した上に、ばらまき色の濃い経済対策に巨費を投じる。

 これではなぜ増税の痛みを負うのか、国民は納得できない。
負担に耐えうるのか

 2014年4月に税率を5%から8%に上げた後は消費が急激に落ち込み、以前の水準に戻るまで3年以上かかった。増税前の旺盛な駆け込み購入で需要が先食いされ、反動減が大きかったためだ。

 その反省から今回は住宅・自動車関連の減税などで需要を平準化する対策を講じた。過去の増税時ほど駆け込みが目立たず、政府は「対策の効果」と強調する。

 果たしてそうか。実質賃金は前回の増税前の水準を下回っている。家計の購買力が落ち、消費自体が弱いと考えるのが妥当だろう。増税はそれに追い打ちをかける。

 景気への悪影響を理由に増税を延期した過去2回とどう違うか、客観的な説明もなされていない。

 米中の貿易摩擦や人手不足で内外のリスクは高まっているのが現状ではないか。

 高齢化が進み、預金を取り崩すなどして暮らすお年寄りが増えていることも気がかりだ。アベノミクスの超低金利政策で資産が増えず、負担だけが直撃する。

 低所得の高齢者に月最大5千円を支給する「年金生活者支援給付金」が始まるが、初回給付は12月にずれ込むうえ、自ら手続きしないと受け取れない。自治体は引き続き周知を徹底してもらいたい。
対策の弊害が目立つ

 ただでさえ消費税には低所得者ほど負担が重い逆進性があり、生活弱者に大きなしわ寄せが及ぶ。

 その緩和を狙い、飲食料品などの税率を据え置く軽減税率を導入した。しかし飲食料品と外食の線引きが曖昧で、店によって価格設定や表示などの対応も分かれる。

 混乱に輪をかけそうなのが来年6月まで実施するキャッシュレス決済時のポイント還元だ。

 軽減税率と合わせ消費者が負担する実質的な税率は5通りとなり、複雑この上ない。

 購買力のある高所得者に有利なばかりか、現金以外の決済に不慣れな高齢者や中小事業者が取り残されかねない。制度の重大な欠陥であり、政府は責任を免れない。

 対策に投じられる予算は本年度だけで2兆3千億円に上る。借金返済に充てるはずの増税分がこれに回り、財政再建は遠のく。

 来年度も、東京五輪後の景気失速への警戒も加わり巨額の予算を組む構えだ。危機感なき大盤振る舞いは許されない。
将来見通す全体像を

 国の借金は1100兆円を超える。国と地方の政策経費が税収で賄えるかどうかを示す基礎的財政収支の黒字化目標は、増税分の使途変更により25年度に先送りされ、その達成すら危ぶまれている。

 安倍首相は今後10年は消費税率を上げる必要がないと言う。ならば増税せずに今後の道筋をどう描くのか納得いく説明をすべきだ。

 無駄な歳出を削り、膨れる防衛費にも切り込む。その上で増税が必要なら、逆進性があり問題が多い消費税より、企業優遇の税制見直しや富裕層への課税強化など税体系全体を改めるのが筋である。

 参院選で消費税廃止を掲げたれいわ新選組が支持を得たことを、首相は重く受け止めるべきだ。

 政府は先月、全世代型社会保障検討会議を立ち上げた。少子高齢化の進展を見据え、年金、医療、介護の充実や、子育て世代支援の強化が必要なのはその通りだ。

 ただ財界寄りのメンバー構成に加え、年末に中間報告をまとめる性急な日程で、安心につながる成果が出るのかは大いに疑問だ。

 国民が求めるのは不安なく暮らせる社会である。消費税増税と表裏一体の社会保障改革を含めた負担と給付の全体像を示さなければ、その実現は遠のく一方だ。政権はそのことを忘れてはならない。

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