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防衛白書 「誤調査」の検証足りぬ

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 例年8月までに公表される防衛白書が今年は大幅に遅れてきのう、閣議で報告された。

 編集対象期間は通常6月までだが、締め切り間際に、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備候補地を巡る調査で、重大な誤りが発覚したためだ。

 候補地周辺では住民の懸念が根強い。原因を分析し、再発防止策を記すのは当然の責任である。

 調査結果の住民説明会では防衛省の職員が居眠りをし、緊張感を欠く対応も問題となった。

 住民軽視とも言える姿勢は沖縄への基地押し付けでも見られる。

 そうした防衛省の体質も含めて問題を検証すべきだったが、反省と、住民への説明に尽くす旨を抽象的に記しただけで、関連の記述は1ページにも満たない。

 これまでも南スーダンやイラクへの部隊派遣を巡る日報隠蔽(いんぺい)などでは、検証不足が否めなかった。

 今回も再発防止の真剣味に乏しいと言うほかない。

 防衛省は秋田市の陸上自衛隊新屋(あらや)演習場を配備の適地とした際、不適とした他の調査地点で、レーダーから周囲の山頂を見上げた角度「仰角」を過大に記していた。

 西日本での適地とされた山口県への説明資料でも誤りがあった。

 秋田、山口への配備ありきだったとみられても仕方あるまい。

 それを反映するかのように、白書では地上イージスの有用性を強調することに行数が割かれた。

 これでは信頼回復は図れない。

 白書には7月以降相次ぐ北朝鮮による弾道ミサイル発射についても明記し、核兵器の小型化・弾頭化は「既に実現しているとみられる」と分析した。

 18年版での「実現している可能性」との表現より踏み込んだが、北朝鮮の核・ミサイル能力に関しては「本質的な変化は生じていない」との評価にとどめた。

 小型化・弾頭化が実現しているなら、この分析は矛盾していないか。米国などと協力して外交的な解決を急ぐ必要があろう。

 「安全保障協力」の章では、韓国の記載順を18年版の2番目から4番目に変更し、国別の重要度を事実上引き下げた。

 韓国による軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)破棄など、最近の対立を受けて判断したという。

 日韓関係の悪化は北朝鮮や、東アジアでの影響力拡大を狙う中国やロシアに付け入る隙を与えかねない。協力関係の維持に、より一層努める必要がある。

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