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非常用電源に自家用車 専門家に注意点聞く 電力容量、車種で違い 太く長い延長コード準備/家電の消費電力確認を

 昨年9月の胆振東部地震で道内全域が停電した「ブラックアウト」を受け、自動車を非常時の「電源」として活用する停電対策が注目を集めている。道内の自治体では、大容量のバッテリーを備えるハイブリッド車(HV)を公用車に導入したり、災害時にHVや電気自動車(EV)を提供してもらう災害協定を自動車メーカーと結ぶ動きも出てきた。家庭でも自家用車を電源として活用することは可能だが、事前準備や使用時に注意すべき点がある。停電対策に詳しいコンサルティング会社「あかりみらい」(札幌市北区)の越智文雄社長(61)に聞いた。

 ――自動車を非常用電源にする停電対策に注目が集まったきっかけは。

 「昨年9月の全道のブラックアウトで、コンビニ道内最大手のセコマ(札幌)が、自動車から電源を取って営業を続けたことで注目を集めるようになりました。セコマは、自動車から電気を取るための機器を各店に配備していたほか、レジを動かすためのマニュアルも整備しており、消費者から『神対応』と呼ばれる営業につながりました」

 ――札幌市が今月、自動車メーカーらと災害時に避難所向けにHVなどを貸し出してもらう協定を締結するなど、道内の各自治体も注目し始めています。

 「小樽市は8月末の防災訓練で、車から避難所の電気を取るプログラムを実施しました。道も、10月に開かれる総合防災訓練で、同じようにHVなどから避難所に電気を引くプログラムを行う予定です。ただ、こうした動きは、まだ一般的になっているとは言えません。9月上旬の台風15号では千葉県を中心に長期間、停電が続いたことで、冷房が使えずに熱中症での搬送が相次ぎました。避難所や各家庭で車から電源が取れれば、発症が抑えられた可能性があります。行政による『公助』だけではなく、『自助』として家庭で車から電気を取る停電対策を進めるべきです」

 ――家庭で自家用車を電源として活用する際、どのような準備が必要ですか。

 「まず注意が必要なのは、車種によって使用できる電力が違います。一般的にガソリン車やHVは100~150ワット程度が上限で、これを超えると車や家電が故障したり、安全装置が働いて電気が使えなくなることがあります。最近のHVなどでは、1500ワット程度まで取れるものも出てきています。車に付属しているマニュアルを読んだり、メーカーに確認して、事前に使用できる電力を把握してください」

 ――事前に購入しておくものはありますか。

 「家庭用のコンセントが付いていないガソリン車や一部のHVなどから電気を取る場合、車で使用している電圧を家電で使用できる100ボルトに変換する『インバーター』が必要になります。車のシガーソケットに挿して使うもので、カー用品店などで数千円で手に入ります。自家用車に常備しておけば、災害時にすぐに使えるほか、キャンプなどのアウトドアでも活用できます。また、車から家の中に電気を引きこむ時も注意が必要。短い延長コードを何本かつないで電気を引くと、雨でぬれて漏電したり、窓やドアに挟まって断線したり、コードで使用できる電力を超えて熱を持つ危険性があり、最悪の場合、発火することもあります。数千円で購入できるドラムに巻き取る形のものなど、電線が太くて長い延長コードを準備してください。弊社が開発した、より安全性が高いものとして、使用できる電力の上限を超えると自動的に電気を遮断するブレーカー付きの延長コードもあります」

 ――車から電気を引いて家電をつなぐ場合の注意点はありますか。

 「先ほども言いましたが、車種によって使用できる電力に上限があります。事前準備を終えたら、車や機器の使い方や、一度に使用できる家電の数を確認するため、実際に家にある家電をつなぐ練習をしてみてください。家電にはそれぞれ消費電力=表=があります。合計がそれぞれの車の上限の100ワットや1500ワット以内になるように計算してつなぎましょう。特に暖房機器は多くの電力を消費するので注意が必要です。各家電の説明書に消費電力が書かれていますが、起動時により多くの電力を消費する場合もあるので、練習で使用可能な電力の上限を超えて、車を故障させないように注意してください」

 ――その他の注意点はありますか。

 「車から電気を取る際、エンジンを付けたままにする必要があります。車庫のように密閉された場所では、排ガスがたまって一酸化炭素中毒を引き起こす危険があります。風通しの良い場所か外に車を置くようにしてください。ガソリンがあれば、半永久的に電気を供給できますが、災害時はガソリンが手に入りにくくなることが予想されます。普段からガソリンタンクが半分以下になったら給油するなど、空にならないよう心がけてください」(川崎学)

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