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<みなぶん>新千歳空港IC 実は不便? バス会社「利点ない」 物流利用で効果も

 札幌方面と新千歳空港を高速道路で行き来する時、道央道の千歳インターチェンジ(IC)と新千歳空港ICのどちらが便利か―。札幌市の60代男性から「空港連絡バスは新千歳ICを使う気配がない」と疑問を訴えるメールが届き、現状を探った。2013年の開設当初は「札幌から空港まで4分短縮」とPRされていたが、時間短縮は実感できず、利用台数も千歳ICの3割以下だ。道などが36億円を投じたICは、税金の無駄遣いではないのか。(五十嵐俊介、門馬羊次)

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■道担当者 当初4分短縮PR
■連絡バス 時短なし使用せず
■記者試走 平日逆に4分遅く

 まず男性の疑問を解消するため、札幌方面の空港連絡バスを北海道中央バスと共同運行する北都交通に取材した。同社は「新千歳ICの開設当初、試行的に利用したがメリットがなく、千歳ICを使っている」と説明した。

■110円高く

 千歳ICから空港国内線ターミナルビルまでは約8キロで千歳市街地を通り、計9基の信号を通過する。一方、新千歳ICは千歳ICより約4キロ苫小牧側で、新千歳ICと空港の間も約8キロあるが信号は2基のみ。札幌南ICからの一般車の通常料金は千歳ICまでが890円、新千歳ICだと千円となる。

 北都交通によると、両ICから空港までの所要時間は変わらなかったという。千歳IC―空港間のJR南千歳駅前にはバス停もあり、「新千歳ICは時間を短縮できない上に料金も高い。バス停を廃止してまで使う利点がない」と言う。

 本当に時間は変わらないのか、記者が計測してみた。今夏、同じ平日の午後2~3時台に、千歳ICを起点に2ルートを法定速度で走行。すると千歳ICから空港までは11分49秒だったが、新千歳IC経由で空港までだと15分38秒で、約4分遅かった。

 「札幌からだと4分短縮」のPRは何だったのか。道によると、新千歳ICの開設前、千歳ICと空港間の一般道の混雑状況が反映された平均交通量などを基に「4分短縮」の推計を出したという。逆に4分遅くなった記者の計測結果を示したが、道の担当者は「混雑緩和は新千歳ICの目的の一つ。開設効果で交通量は分散され、当初の推計と異なる結果になったのでは」と説明した。

■利用台数4倍

 東日本高速道路北海道支社によると、18年度の1日平均利用台数は、千歳ICが1万2309台で新千歳ICが3248台。14年度は千歳ICが1万997台、新千歳ICが2771台で、両ICとも増えたが、千歳ICが4倍近く多い状況は変わらない。

 実際に札幌方面から空港に来たドライバーに聞いても、千歳IC派が多かった。月1回ほど空港を利用する札幌市清田区の会社員菅野学さん(35)は「料金が安いので千歳ICで降りる」。空港周辺のレンタカー会社も利用者に千歳ICを薦めていた。新千歳ICの事業費は道が26億円、東日本高速道路が10億円を負担しており、千歳ICを使う東区の男性会社員(38)は「税金の無駄」と断じる。

 千葉博正・札幌大名誉教授(交通計画)は「札幌からだと新千歳ICは遠回りで使いにくいのは確か」と指摘する。

 一方、空港を取り巻く環境が開設後、大きく変わった点にも注目する。新千歳空港の18年度の旅客数は過去最高の2363万人で、5年前より500万人近く増加。今後は旅客の急増に加え、空港内で扱う土産物や航空貨物の増加も予想されており、千葉さんは「新千歳ICは物流重視としトラックなどの利用を促進すれば、開設した効果も出てくる」と話す。

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