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金融行政方針 地銀再編偏重は疑問だ

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 金融庁は、向こう1年間の重点施策を示す「金融行政方針」をまとめた。

 人口減少や超低金利で苦境にある地方銀行などへの監視をこれまで以上に強め、稼ぐ力を失った銀行に早めの改善を促すという。

 地場企業の支え手である地銀が経営不振に陥れば、地域経済に及ぼす悪影響は計り知れない。

 その点で、地銀の収益力向上をめざす方向性自体は正しい。

 疑問なのは、金融庁が経営統合などの再編による収益改善に重きを置きすぎていることだ。

 北洋銀行と北海道銀行の道内2地銀が合併や統合を経て信用力を高めたように、再編が金融安定化に資する面は確かにある。

 だが、その一方で再編は店舗閉鎖や融資条件悪化の形で顧客にも痛みを強いかねない手段であり、多用すべきではないだろう。

 金融庁には、地銀の自主的な経営判断と顧客利益を最大限に尊重した監督行政を求めたい。

 再編促進の柱となるのが、地銀の統合に独占禁止法の適用除外を認める特例法の制定だ。

 同じ都道府県内などの地銀が統合し域内の占有率が高まっても、経営改善が見込めるなどの条件を満たせば統合を認める。こうした内容の法案を来年の通常国会に提出することを想定している。

 しかし統合によるコスト減だけでは経営を抜本的に改善することは難しい。それどころか、統合で営業区域が広がれば、地銀本来の強みである地域との密接な関係が薄れてしまいかねない。

 また、破綻に備え銀行が同一料率で積み立てる預金保険料について、「可変料率制」の導入を検討するとしたことも見過ごせない。

 再編で収益力を上げ健全性が高まれば料率を引き下げることで、経営改善を促す狙いがある。

 だが可変料率制は国が銀行を等級付けするに等しく、引き下げの可否が信用不安を誘発する恐れもある。慎重な議論が必要だ。

 将来有望な企業を発掘する。そして、地場企業のニーズや課題を的確に把握し、それに見合った融資や支援をきめ細かく行う―。

 こうした地道な努力こそ地域経済を活性化し、自行の収益力強化にもつながるということを、金融庁と地銀は銘記してもらいたい。

 地銀の経営環境が悪化し続ける最大の要因は、日銀による超低金利政策だ。預金者が利子をほぼ失っただけでなく、銀行の利ざやも極めて小さく、持続可能性に乏しい。早急に見直すべきだ。

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