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<くらしの法サロン>高齢者の財産どう守る 親族、専門職が成年後見人 元気なうちは「任意後見」も

 札幌弁護士会と北海道新聞社は4日、くらしの法サロン「高齢者の財産をどう守るか」を同社1階のDO―BOXで開いた。財産管理などを本人に代わって行う「成年後見制度」と、信頼できる人や機関などに遺産を信託する「民事信託制度」について、奥野舞弁護士と菊地亮介弁護士が対談形式で解説した。主な内容を紹介する。(根岸寛子)

 奥野 成年後見制度は、(認知症などで)判断能力が不十分な本人に代わって、財産管理や介護サービスの契約などを行い、本人の法的権利を守るのが目的です。代わりに行う人を成年後見人と呼びます。この場合を「法定後見」といい、財産を管理してもらう本人や配偶者、4親等内の親族らが家庭裁判所に申し立てできます。弁護士に代理人として手続きを依頼する人もいます。

 菊地 成年後見人は裁判所が選任するので勝手になれるわけではありません。どんな人が選ばれるのですか。

 奥野 親族のほか、弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職後見人を選ぶ場合もあります。裁判官が事案ごとに判断するので、一般的な基準はありませんが、財産総額が多かったり、親族間に争いがあるなど法的に難しい課題があった場合などは、親族が後見人になりたいと望んでも、専門職が選ばれることが多いです。

 後見人の主な仕事は財産管理と日常生活のサポート(身上監護)。基本的に親族後見人の場合には報酬はありませんが、専門職後見人にはあります。報酬額は「いくら」と決まっているわけではなく、事案ごとに家庭裁判所が決めます。月2万円が目安と言われますが、本人の財産状況によっては無報酬ということもあります。

 菊地 成年後見制度以外にも高齢者の財産を守る制度として「民事信託」がありますね。

 奥野 民事信託は、財産を所有する人(委託者)が、その管理や処分を信頼できる人や機関(受託者)に任せる仕組みです。ただ、民事信託は契約なので、委託者は判断能力が十分でなければなりません。判断能力が不十分になってしまった場合は、成年後見人が信託銀行と信託契約を結ぶ「後見制度支援信託」があります。成年後見人が家庭裁判所の指示のもと、信託銀行と信託契約を結ぶという仕組みです。民事信託には、受託者に現金、預金、不動産などの管理権限が与えられますが、後見制度支援信託は現金、預金のみになります。

 菊地 任意後見人と間違えやすいので解説します。例えば、私の父の判断能力が衰えた後、裁判所に申し立てをし、裁判所が選ぶのが成年後見人です。一方、父の判断能力が衰える前に私と父とで後見契約を結ぶことで決まるのが任意後見人です。任意後見人の活動は本人の判断能力が衰えた後から開始となります。

 奥野 任意後見人が活動を始める際には家庭裁判所が監督人をつけます。監督人は任意後見人がきちんと財産管理できているかチェックし、家庭裁判所に報告することになっています。

 菊地 法定後見は誰を後見人にするか選べませんが、任意後見は誰を後見人にするか本人が選べます。ただ、いずれも家庭裁判所の監督に服するという点では違いはないということですね。では、誰が判断能力の有無を判断するのでしょうか。

 奥野 基本的には医師が判断します。成年後見人以外にも、本人の判断能力がやや高いと「保佐人」、さらに高い場合は「補助人」とあります。どれも医師の診断書から家庭裁判所が判断します。

 菊地 ただ、財産がどれくらいあるのかなど確定しないことには、本人が元気なうちに任意後見契約を結んでおくべきなのか、信託制度を利用すべきなのかなど決められません。現金や預金だけでなく、生命保険や車、不動産、株券など、自分の財産をわかるようにしておくことが大事です。

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