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「青函」の将来像 観光と農業の両立望む

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 国土交通省が、北海道新幹線を高速化するために検討していた青函トンネル区間の貨物列車全廃案を断念する方向になった。

 北海道―本州間の貨物列車は道産タマネギなど農畜産物の輸送に大きな役割を果たしている。トラックと船への全面切り替えには無理があるとの判断は妥当だろう。

 ただ、その代償として新幹線本来の強みであるスピードをフルに発揮できない状態が続くことは歓迎できない。

 北海道新幹線は2030年度に札幌まで延伸される。外国人観光客の増加に対応するためにも高速化は不可欠な条件である。

 観光と農業は北海道経済の両輪であると同時に、日本全体の中でも重要な位置付けを占めている。国はともにプラスとなる解決策を考えるべきだ。

 青函の貨物列車を全廃した場合、人手不足が深刻なトラックへの依存度が高まり、輸送を環境負荷の少ない鉄道に転換するモーダルシフトの流れにも逆行する。

 とはいえ、新幹線と在来線貨物列車が同じ区間を走る現行方式がベストではないことも確かだ。

 北海道新幹線の営業最高速度は時速260キロだが、青函トンネルを含む共用区間では140~160キロへの減速を強いられている。

 すれ違いの際の荷崩れを防ぐため、新幹線が速度の遅い貨物列車に合わせる形である。

 このままではJR北海道が目指す東京―札幌間所要4時間半の実現は難しい。札幌延伸による観光・ビジネスへの波及効果は減殺され、JR北海道の経営自立も遠のいてしまう。

 解決策は、貨物列車の方を新幹線に合わせてスピードアップすることだろう。国は貨物新幹線の実用化を急いでもらいたい。

 青函トンネルの貨物列車走行の継続を国交省が決めるのならば、JR貨物がJR北海道に支払っている線路使用料の在り方も見直す必要があるのではないか。

 国は国鉄分割民営化の際、採算性の低いJR貨物の経営を支援するため使用料を安く抑えるルールを導入したが、今や経営難に苦しんでいるのはJR北海道の方だ。

 82キロに及ぶ共用区間の走行本数は貨物列車の方が多いのに、JR北海道は除雪や保守・点検の経費を十分賄えず、北海道新幹線の赤字が膨らむ要因になっている。

 旧国鉄債務を返済してきたJR貨物への配慮は必要だが、国鉄改革の制度設計のほころびは正さなければならない。

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