PR
PR

<書評>未来の地図帳

河合雅司著

人口減少のブキミさ提示
評 佐藤直樹(九州工業大名誉教授)

 たしかに、最近のセブン―イレブンのフランチャイズ店の24時間営業を巡るごたごたが気になってはいた。だが正直いって、人手不足の根底にある日本の人口減少が、まさかこんなに深刻な状況だとは思ってもいなかった。本書は、2045年までに各自治体の人口減少がどれほど激烈に進むかという「不都合な真実」を、人口予測に基づき具体的数字を示して明らかにする。

 この人口減少の特徴は、「東京圏の人口膨張と、人口が大きく減りゆく地方の拡大という二極化」にある。地方から東京圏への人口流出が止まらず、地域間の人口差が極端に拡大する。たとえば現在は人口増加が続く札幌市。道内の市町村から若者を中心に人口が流入し、もともとの住民が進学や就職で東京圏などに流出する「ところてん式」になっている。しかし問題は、北海道全体としては1年間に3万人も人口が減るという、深刻な状況にあることだ。

 45年には15年比で、総人口が2067万人ほど減る。この時点で人口が最も多い都道府県は、1360万7千人の東京都。最も少ないのが44万9千人の鳥取県。人口差はじつに30倍を超える。これでは都道府県の枠組みが維持できない。ちなみに最も人口が少ない市は、813人の歌志内市。15年比で下落率はなんと77.3%減。この数字は奈良県川上村に続き全国2位の下落率で、今後自治体の存亡が問われる。

 人口減少対策ですぐに思い出すのは、外国人労働者の本格的受け入れという、安倍政権の「移民政策」だろう。だがこれは、「2019年の社会」の維持が前提の無理な手法であり、問題の根本解決にはつながらないと批判。人口減少に耐えられる国づくりへの転換こそが必要だという。

 最後に本書は、「拠点という『王国』を作る」ことや「東京圏を『特区』とする」など興味深い提言をしているが、まずは、末尾に40年時点での各市区町村の人口増減率の一覧表が載っているので、ぜひ自分が住む自治体を見てほしい。現下の人口減少のブキミさを実感していただけると思う。(講談社現代新書 929円)

<略歴>
かわい・まさし 1963年生まれ。作家、ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長なども務める

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
PR
ページの先頭へ戻る