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三鷹事件棄却 厳格すぎる再審への道

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 戦後の混乱期、東京の旧国鉄三鷹駅で無人電車が暴走し、6人が死亡、20人が重軽傷を負った「三鷹事件」の再審請求審で、東京高裁が請求を棄却した。

 再審弁護団は、自白の矛盾を指摘する鑑定書や目撃証言の信ぴょう性を疑問視する実験結果を示したが、東京高裁は、確定判決の判断に合理的疑いを生じさせるものではないと判断した。

 しかしながら、有罪判決の直接証拠となった自白を巡っては、供述が何度も変遷した。信用性の低さは明らかだった。

 刑事裁判の鉄則「疑わしきは被告人の利益に」は再審にも適用される。東京高裁の判断は妥当だったとは言いがたい。

 6月には、「大崎事件」で最高裁が下級審の再審開始決定を取り消した。確定判決を覆すには、明白な新証拠がない限り認めないという厳格化がうかがえる。

 再審が開かずの扉と言われた時代に逆戻りしかねない。検察側の証拠開示の手続きを定めるなど、法整備の議論を急ぐべきだ。

 再審は、死刑確定後も無実と訴えながら病死した竹内景助・元死刑囚の長男が請求していた。

 警視庁は当初、労働組合を率いる共産党員が、国鉄職員の大量解雇に反発して犯行を主導したとみて捜査し、元死刑囚のほか党員9人を電車転覆致死罪で起訴した。

 ところが、判決では非党員の元死刑囚だけが有罪となった。

 再審では、自白すれば情状酌量の余地があると諭されたことを示す元死刑囚の手紙も提出された。自白の誘導も疑われる。東京高裁の判断は、多くの冤罪(えんざい)を生んだ自白偏重への反省が感じられない。

 目撃証言を巡っては、裁判所の勧告に従って検察が開示した証拠が、弁護団の主張を補強するものもあった。検察側の証拠隠しと批判されても仕方あるまい。

 3月に無罪が確定した松橋事件など、検察側が開示した証拠が無実を証明した事件は少なくない。DNA型鑑定など科学技術の発達もあり、重要性は増している。

 全証拠のリストを開示する裁判員裁判を参考に、再審も証拠開示の在り方を見直す時ではないか。

 事件は共産党員などの公職追放「赤狩り」が吹き荒れる占領下の日本で起きた。国鉄総裁がれき死体で見つかった下山事件などと並ぶ国鉄三大事件の一つだ。

 不可解な点が多く、歴史の闇に翻弄(ほんろう)された感も拭えない。事件から70年がたつとはいえ、再審で真相を解明するべきだ。

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