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首相会見 低姿勢こそ求められる

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 安倍晋三首相はきのう、自民党総裁として記者会見し、与党で改選過半数の参院選結果を受けた政権運営への意欲を強調した。

 力を込めたのは、選挙戦で「議論するか否か」を訴えた憲法改定だった。「『少なくとも議論を行うべきだ』、これが国民の審判だ」との認識を示した。

 改憲案の取りまとめに向け「強いリーダーシップを発揮していく決意だ」とも述べた。

 だが、自公に日本維新の会を合わせた改憲勢力は3分の2を割った。共同通信社の出口調査では、安倍首相の下での改憲に反対47・5%、賛成40・8%だった。

 選挙結果を、改憲を求める国民の声だとみなすことはできない。

 各地の結果からは政権与党として反省すべき材料も見えてくる。

 改憲を声高に叫ぶより、まずは国民の多様な声をくみ取り、政権運営の糧とする。勝ったからこその低姿勢が求められる。

 野党が統一候補を立て、選挙戦の勝敗を分けるとされた32の1人区は自民党が22勝10敗と、3年前から1議席上積みした。

 ただ、注目すべきは自民が負けた沖縄、秋田、新潟選挙区だ。

 沖縄では辺野古新基地建設に県民がまたもノーを突きつけた。

 秋田は野党候補が防衛省の調査ミスがあったイージス・アショア配備計画反対を掲げ当選した。

 新潟で落選した塚田一郎氏は、道路建設を巡る「忖度(そんたく)」発言で国土交通副大臣を辞任した。野党候補は「忖度政治からの脱却」を訴え、攻撃材料とした。

 首相は重要政策や政権の体質が争点になった選挙区の民意に、しっかりと向き合うべきだろう。

 森友・加計(かけ)問題を追及されていた時に首相が口先で繰り返していた「謙虚で丁寧な政権運営」は、言葉すら聞かれなくなった。

 1強のおごりがさらに増長しないかが心配だ。それは、改憲についての言動にも透けて見える。

 選挙前から、国民民主党内には前向きな議員がいるとして期待感を示し続けている発言がそれだ。きのうも言及した。立憲民主党との分断を図り、1強になびかせようとの揺さぶり戦術だろう。

 そんな政略的とも言うべき手法で目指すような改憲に、果たして国民の理解が広がるだろうか。

 参院選の全国投票率は選挙区で48・80%と、過去2番目の低さとなった。首相は、政権への信任が決して国民全体の分厚い支持によってなされたものではないと、肝に銘じておく必要がある。

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