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<みなぶん>政治家の資質、見極めは 参院選SNSで問う ばら色の公約身構え/姿勢注視し緊張感

 21日に投開票が迫る参院選。候補者の訴えにも力が入るが、近頃は議員の暴言や失言が後を絶たない。有権者は政治家の資質をどう見極め、何を基準に投票先を決めるのか、自らの1票は政治に届いていると感じているのか。読者の疑問に答える調査報道「みんなで探る ぶんぶん特報班」は、通信アプリ「LINE(ライン)」などで通信員登録する読者に問いかけ、選挙と民主主義について考えた。

 「(議員が)国民目線になるとは絶対に思えない」。札幌市北区の社会保険労務士の男性(49)は嘆く。「選挙に関係ない時期に、つじ立ち(街頭演説)している政治家がどれだけいるのか。国民目線の政策を作り、約束を果たすために真摯(しんし)に取り組んでいる政党がどれだけあるだろうか」

 泥酔し、戦争による北方領土奪回に言及する国会議員がいれば、震災復興より同僚議員が大事と発言して更迭された閣僚も―。

 「政治と個人をつなぐ中間団体が空洞化した」。吉田徹・北大大学院教授(比較政治)は市民感覚と乖離(かいり)した政治家の言動の背景をこう見る。《1》町内会や労働組合など市民の声を政治に届ける組織の力が弱まり、個人化した社会で有権者と政治家の距離が離れた《2》政党は有権者の声に耳を傾けて支持を集めようとするより、イメージ優先で選挙に勝てる候補者を選ぶ傾向が強まった―というわけだ。

 では、政治家の資質をいかに見極めるのか。深川市の会社員大森瑞起さん(27)は「ばら色の政策ばかり語る候補者や政党の主張は、身構えて聞く」と言う。例えば参院選の争点の消費税増税。「増税はしないと言うなら、社会保障費の財源をどうするつもりか考えているのかチェックする」と言う。吉田教授も「街頭演説や集会で候補者に直に会い、資質を感じ取ることが大切」と呼び掛ける。

 ただ、国政選挙の道内投票率は70%を超えることはめったになく、せいぜい60%台前半だ。政治と距離を置く有権者の姿勢が政治家を野放図にさせている面はないのだろうか。北見市の主婦(54)は「自分の周りも選挙に行かない人が多い。有権者の関心が高まれば、議員の意識も変わるかもしれない」と言う。

 1票を投じるに値しないと思う政治家や政党ばかりだと突き放す声もあるだろうが、江別市の主婦(43)はそうしたときは「反対票」を投じると明かす。「勝ちそうな候補者とは違う人に投票する。落選者の得票数を戒めとして受け止めてもらいたいから」

 1票も集まれば力になる。吉田教授は「SNS(会員制交流サイト)で『いいね』をもらうような感覚でいいから、生活の中で変わってほしいと望むことを共有できる仲間を増やせば、選挙で力を持てる」と提案する。

 選挙は民主主義の根幹だが、1票だけが政治を動かすわけではない。旭川市の男性(63)は「選挙後も議員一人一人の言動を国民がしっかりと監視すべきだ」と強調する。札幌市西区のパート従業員の40代女性も「選挙後は政治家も有権者もメディアもテンションが落ちてしまう。議員の活動をチェックするために有権者が能動的に動かないといけない」と指摘する。

 平等な普通選挙が実現していない香港では市民のデモが不完全な民主主義を補っており、最近も大規模なデモが非民主的な条例改正にストップをかけた。吉田教授は「自分たちの望む社会を実現するために議員の働きを注視し、実現してくれないのならデモや要望活動でも何でもいいから行動を起こすことで社会は変えていける」と訴えている。(門馬羊次)

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