PR
PR

<2019参院選 争点探訪>JR支援 影薄い国会議員 打開へ問われる手腕

 21日投開票の参院選道選挙区(改選数3)で、JR北海道の路線見直し問題が争点に浮上している。JRは宗谷線の稚内―名寄間など8区間について、国や自治体の支援を前提に存続を目指すが、国の支援策は全体像が見えず、財政難の自治体は巨額負担を警戒する。解決の糸口を探るため、関係者や専門家をたずねた。

 まず向かった先は釧路市役所だ。8区間のうち、釧網線(東釧路―網走)と花咲線(釧路―根室)を抱える同市は2019、20年度、両区間の利用促進費として各年度330万円を負担する方針を表明している。蝦名大也市長は「やむを得ない措置」と説明した。

■巨額負担を警戒

 なぜか。国のJR支援の根拠となる法律が20年度末で期限を迎える。JRの経営は国の支援なしでは成り立たず、21年度以降も支援を受けるには、自治体などによる利用促進の取り組みが前提となる。「本来は国が全面支援すべきだ」(道央の首長)との声も根強いが、鉄路維持に向け、このたびは市町村も負担せざるを得なかったのだろう。

 ただ、蝦名市長は約20分間のインタビューで、今回の負担は「緊急的かつ臨時的」「限定的」との言葉をそれぞれ6回ずつ重ね、21年度以降の前例にはならないことを強調した。

 市町村が警戒するのも無理はない。JRは21年度以降、8区間の維持に向け、国と自治体の支援額を年間80億円と想定しているとされる。その場合、道と市町村の負担額は半分の40億円に上るとみられる。

 電卓をたたいてみた。道と市町村を合わせた利用促進費の総額は年間2億円で、このうち釧路市は330万円。仮に道と市町村が年間40億円を負担する場合、利用促進費の負担比率を単純計算で当てはめると、釧路市は6600万円になる。

■国の主張なぞる

 この額は同市の目玉事業である中小企業の支援拠点「ビジネスサポートセンター」の年間事業費に匹敵する。市関係者は「この額を支出し続けるのは現実的ではない」と予防線を張る。

 国は「地元自治体と同水準の負担」とする方針を示し、譲歩する気配はない。道は調整役として、市町村と国、JRの間に入るが、鈴木直道知事は「地域と一体となって最適な交通体系のあり方について協議を進めることが重要」との持論を繰り返すだけ。「知事がどういう方向に話を持っていきたいのか、スタンスがまだわからない」と漏らす道職員は少なくない。

 事態打開の手がかりはないか。岸邦宏・北大大学院准教授(交通計画)の研究室をたずねた。岸氏は「地域の責任だけで鉄路を守るような議論をしている限り、解決策はない」と指摘する。重要な鉄路は北海道の骨格を構成する「幹線」として制度にしっかり位置付け、国の役割を明確にすべきだと主張する。「新しい法律をつくるため、国会議員は積極的に動いてほしい」。自治体にも国会議員の役割を期待する声は多い。

 だが、JR問題を巡る道内選出国会議員の存在感は薄い。昨年7月に自民党のJR北海道対策プロジェクトチーム(PT)がまとめた中間報告では、国が支援する前提として「道や市町村が相応の維持コストを負担」することを明記。国の主張をなぞるような内容に、道内からは「国会議員は地元の事情をわかってないのか。これでは国の言いなりではないか」(道議)と落胆の声が上がった。

■政治の力 今こそ

 参院選道選挙区の主要5候補はいずれも、JRへの国の支援拡大が必要との主張でほぼ一致する。ある首長は厳しい口調で注文をつける。「北海道は国会議員の数が他県より多く、責任が分散しがち。道外なら各県の国会議員が競うように国へ働き掛けるはずだ。道内の国会議員も今こそ政治の力を発揮してほしい」(内藤景太)

 記者が現場を歩き、参院選の争点となっている問題の背景や実態に迫る「争点探訪」を随時掲載します。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
PR
ページの先頭へ戻る