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イラン沖護衛 無理ある米追従の派遣

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 トランプ米政権がイラン沖などを航行する民間船舶を護衛するため、同盟国と「有志連合」を結成する方針を明らかにした。日本も参加を求められる可能性が高い。

 日本は中東に原油輸入の8割以上を依存する。

 この地域の安全航行確保は重要な問題だが、憲法9条で海外での武力行使は禁じられ、自衛隊の海外派遣には法的な制約が極めて多いことを忘れてはならない。

 防衛省幹部は「現状では難しい」との認識を示している。

 米国に追従する派遣は受け入れがたいのが現状だろう。米国はイランとの対話を優先すべきだ。

 イラン沖の緊迫化は、イランと米英仏独ロ中の6カ国が結んだ核合意から、米国が一方的に離脱してイランへの経済制裁を強めていることに原因がある。

 「積極的平和主義」を掲げる安倍晋三首相は、危機回避への仲介に意欲を示してきた。

 ならば先日訪問したイランだけでなく、米国にも自制を促し、トランプ氏に核合意への復帰を求めるのが仲介役の務めである。

 そもそも米国が想定する形での派遣は法的にハードルが高い。

 自衛隊法に基づく「海上警備行動」では、防衛相が日本に関係のある船舶を警護する必要があると判断すれば派遣できるが、米軍艦船を守ることはできない。

 現在、日本は海賊対処法に基づき、民間船舶を警護する目的で、ソマリア沖のアデン湾に海上自衛隊の護衛艦などを派遣している。

 ただ、この法の目的はあくまで海賊対策だ。先月、ホルムズ海峡で日本のタンカーを攻撃した主体は特定されていない。この事件を理由には適用できない。

 首相は日本へのエネルギー供給が絶たれるような状況になれば、安全保障関連法で容認した集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」に当たるとの考えを示してきた。

 しかし岩屋毅防衛相は、現状は存立危機事態に当たらず、派遣の必要はないとの考えを示している。当然だろう。

 強引に憲法解釈を覆した安保法は違憲の疑いが濃い。これに基づく派遣はあり得ない。

 過去には特別措置法を制定するケースもあった。イラク派遣がそうだが、後に、米国がイラク侵攻の根拠とした大量破壊兵器保有は偽情報だったと分かった。

 米追従の教訓は数知れない。

 自衛隊を派遣すれば、イランの反発をさらに招く恐れがあろう。

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