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羊飼い作家河﨑秋子さん 執筆に専念 「空いた時間広く深く勉強」

 根室管内別海町で羊飼いをしながら執筆活動をしている河﨑秋子さんが、羊飼いをやめ、作家として独立することを決めた。年明けには別海の実家を離れ、本格的に作家一本の活動を始める予定で、「農作業の時間が空いたぶん、広く深く勉強を重ね、執筆の幅を広げたい」と意欲を見せている。

 河﨑さんは小説「肉弾」で今年の大藪春彦賞を受賞。現在、羊飼いの仕事のほか、実家の長兄が営む酪農の手伝いや父親の介護の合間に小説やコラムを書いている。締め切り前には睡眠時間を削って執筆に当ててきた。

 今年で40歳。この先、今の仕事を続けながら作家活動を兼業するのは体力的にも厳しい上、「書くためのネタをインプットする時間がなかった。このままでは(書く内容が)いつか破綻してしまう」と思っていた。不安を感じる中、道外にいた次兄が今夏、別海にUターンを決めた。次兄が戻り、実家の酪農、チーズ作りを手伝うことから、時間的な余裕ができることになった。羊飼いだけは続けようとも思ったが、動物相手の仕事では結局、時間が制限されることから、作家独立の道を選ぶことにした。

 羊は、繁殖用10頭、子羊20頭がおり、年内までに販売、譲渡する。移住先はこれから探すが、道内の地方都市郊外を希望している。「少し田舎がいい。空港に近く、土が見えて、動物がいる場所を考えている」と言う。

 新聞や雑誌の連載など、しばらくは定期的な収入があるが、不安もある。“羊飼いの作家”という肩書で仕事が来ていたことは分かっていた。しかし、辞めることを告げた際に編集者から「これで(原稿を)増やせますね」と言われ、胸のつかえが取れた。

 今後の抱負を「“文体で殴りにいく”ような作品を書きたい」と小説家らしい表現で答える。北海道新聞書評欄のコラム「羊飼いの書棚から」、どうしん電子版の「羊飼いのつぶやき」も引き続き執筆するが「タイトルを“元羊飼い”に替えなきゃいけないですね」。(久才秀樹)

<略歴>かわさき・あきこ 1979年、根室管内別海町生まれ、在住。北海学園大卒業後、ニュージーランドに留学。綿羊の飼育を学んだ後、実家の酪農業を手伝いながら、綿羊を飼育・出荷。12年に「東陬遺事(とうすういじ)」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)、14年に「颶風(ぐふう)の王」で三浦綾子文学賞を受賞。

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