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<みなぶん>ラッシュ時に「人の壁」 東豊線大通駅 乗降客の流れ集中 エスカレーター移設に数億円 専門家「全体の見直し必要」

 「札幌市営地下鉄大通駅に帰宅ラッシュ時、人の壁ができて通りづらいエスカレーターがあります」。札幌市豊平区のパート男性(46)がメールを寄せた。現場に足を運ぶと、確かに横切るのが難しい。さらに、人の流れが激しくなると、お年寄りや子どもには危険と感じた。どうすれば、いいのか―。

 現場は東豊線。地下2階の南改札から、地下3階へ降りる途中、右に下り、左に上りのエスカレーターがある==。その左手に階段もあるが、大半の客はエスカレーターへと向かう。

 帰宅客の増える午後5時半ごろ、下りエスカレーターから、福住方面のホームへ向かおうとすると、上りエスカレーターに集まる人の流れが行く手を遮り、前へ進めない。後ろからは次々と人が下りてきて、次第に身動きがとれなくなる。

■無意識に最短コース

 一部始終を観察し、北海道科学大(札幌)の石田真二教授(都市計画)は指摘する。「人は無意識に最短コースを通ろうとします」

 メールの男性は「エスカレーターを上下逆向きにしては」と提案するが、石田教授は「ホームのある左右双方から、上りエスカレーターに集中する乗客動線(人の流れ)に大きな変化はなく、ほぼ同じ場所で詰まる」と分析。エスカレーター正面の壁が流れを悪くしており、「階段を挟んで両端にエスカレーターを設ければ、今より人の流れを分散できるのでは」という。

 大通駅は地下鉄3路線が交わり、1日約7万人が行き交う。ホームは南北線が地下2階、東西線が地下3階、東豊線が地下4階にあり、階段や通路が複雑に入り組む。新路線が開業するたび、より深い場所にホームを整備してきたためだ。

 1988年の開業当初、南方面は豊水すすきの駅だけ。問題のエスカレーター付近は「大半が栄町方面への乗客で、それに合わせて設置した」(市交通局)。

 ところが、94年に豊水すすきの―福住間が開業すると、栄町、福住各方面の乗降客がほぼ同数となり、人の流れが大きく変わった。

 市交通局も改善が必要と考えるが、エスカレーターの移設に数億円かかる。小原丈幸(たけゆき)係長は「利用者数を考えると、移設は難しい」

■首都圏でも試行錯誤

 乗客動線の問題は、札幌よりもはるかに多くの利用客が集中する首都圏の鉄道会社も試行錯誤を続ける。

 地下鉄9路線を運行し、1日約742万人が利用する東京メトロは朝夕のラッシュ時だけ、通路を一方通行にしたり、ロープで規制したりする駅もある。3月からは、すいている改札に誘導するため、電子マネーのポイントを還元する取り組みを始めた。「スペースなどさまざまな制約がある中、駅周辺の企業にも協力してもらいながら、乗客動線の改善を進めています」(広報部)と説明する。

 札幌市中心部では、北海道新幹線延伸などを見据えた再開発が活発化。市は清田区への公共交通機関の整備を検討しており、東豊線の延長も議論されている。

 2030年に冬季五輪・パラリンピック招致を目指す市は、「まちのバリアフリー化」を進める考え。石田教授は「バリアフリーを考える上で、安全で円滑な乗客動線の確保は不可欠。コスト面や優先度などを踏まえ、特に重要な交通の要となる大通駅は、全体の動線をデザインし直さなければならない」と強調する。

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