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香港大規模デモ 自治骨抜きへの危機感

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 香港市民と政府の間で、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を巡り緊張が高まっている。

 立法会(議会)周辺ではきのうも大勢の若者らが集まり、改正案の撤回を要求した。

 9日には100万人を超えるデモも行われた。2014年に香港政府トップである行政長官選挙の民主化を求めた「雨傘運動」以来の規模である。

 こうした動きの背景には、条例改正によって、中国に批判的な活動家らが本土に引き渡される恐れがあり、司法の独立性が揺らぎかねないとの危機感がある。

 そうなれば、香港に高度な自治を保障する「一国二制度」は骨抜きになる。1997年の返還時に英国と中国が50年間は維持すると合意した大原則だったはずだ。

 中国の習近平政権は親中派の香港政府を通じ、言論活動などへの干渉を強めてきた。市民が不安を募らせるのは当然だ。懸念を払拭(ふっしょく)するには香港政府が改正案を撤回するのが最善策と言えよう。

 香港返還後も、中国と香港の間には容疑者引き渡しの取り決めはなかった。改正案は香港で拘束した容疑者も本土に引き渡せるようにする。親中派が多数を占める立法会で、可決は確実な情勢だ。

 ただ、立法会はきのう予定していた改正案の審議再開を延期した。強行すれば混乱が一段と深まるのは必至だ。引き続き冷静な対応を求めたい。

 2カ月半にわたって幹線道路を占拠した「雨傘運動」が成果なく収束した後、香港の民主化運動は下火になったと言われていた。

 にもかかわらず、ここまで抗議行動が盛り上がっているのは、改正案への市民の危機意識の表れだろう。裏を返せばそれは、中国への警戒感の強さである。

 4年前には、中国の批判本を扱う書店関係者らが中国当局に拘束されるなど、香港の捜査権が侵害されたとみられる事件も起きた。一国二制度の土台が切り崩されようとしている。

 中国政府は条例改正を強く支持し、主要メディアは大規模デモをほぼ黙殺している。民主化の動きに背を向け、異論を力で抑え込む強権的手法は許されない。香港の自治を保障すべきである。

 一国二制度は、自由な経済活動も保障してきた。このため今回の改正案には経済界からも反発がある。日本を含めた国際社会は民主化堅持を求める市民の動きを後押ししていきたい。

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