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地上イージス 疑問が多い「適地」決定

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 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入を巡り、政府は秋田、山口両県の陸上自衛隊演習場を「適地」と最終判断し、関係自治体に伝えた。

 地元からは電磁波による人体への影響のほか、配備によって敵の攻撃目標になる恐れや、迎撃ミサイルの部品が住宅地に落下することなどへの懸念が示されている。

 政府はそうした声に十分には応えていない。「適地」決定はあまりに拙速だ。

 地上イージスは、運用次第では憲法の制約を超えた敵基地攻撃能力を有するとの指摘がある。

 米領グアムに向けた北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃することも可能で、安全保障関連法で認めた集団的自衛権行使の名の下、迎撃対象を拡大させる懸念も拭えない。

 沖縄の基地問題で見られるように、国の政策を地方に押し付ける姿勢が目に余る。このまま配備を強行することは許されない。

 防衛省は地上イージスと同じ周波数帯の電波を出すレーダーを使い環境への影響を調査した結果、人体に影響はないと結論付けた。

 だが、これは電波の計測を基にした理論上の結果にすぎない。

 敵の標的になるとの指摘には、部隊を当初予定の約200人から約250人へ増やし、警備を強化する考えを示し、理解を求めた。

 しかしテロやミサイル攻撃などへの不安は、警備の人数を増やしたところで解消はしない。

 いずれの説明も地元の懸念を払拭(ふっしょく)するだけの内容には乏しい。

 山口県阿武町では、配備に反対する住民団体に有権者の約55%が加入した。他の関係自治体でも理解が進んでいるとは言い難い。

 先の日米首脳会談で、安倍晋三首相は「日米同盟の強固さ」を訴えたが、その陰でトランプ大統領の要請に従い、米国からの防衛装備品購入を年々増やしている。

 その一つが地上イージスだ。取得経費は約2400億円に上る。

 専守防衛を逸脱しないかどうかや、費用対効果などを精査せず、対米従属の中で地上イージス配備が進められているのではないか。

 2年前、政府は北朝鮮の核・ミサイル開発への対処を理由に、地上イージス導入を閣議決定した。

 その脅威はなお残るが、米朝首脳会談が2回にわたって行われるなど、対話による解決が国際的に模索されている。

 政府は住民への説明を尽くすと同時に、防衛装備よりも外交に軸足を置いた安全保障政策を心がけてもらいたい。

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