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御朱印アプリ、CG宮司登場も 福岡の神社 道内では水墨画サービス

■「若者に親しんでもらいたい」

 御朱印(ごしゅいん)集めが世代を超えたブームとなる中、全国で初めてAR(仮想現実)技術を使った「御朱印帳アプリ」を導入し、愛好者らの話題を集めている神社がある。福岡市の紅葉八幡宮(もみじはちまんぐう)だ。スマートホンを御朱印にかざすと、宮司や祭神の3Dアニメが画面に飛び出してくる。

→「改元」御朱印ブーム 北海道神宮、初日5千人 SNSで若者に広がる 高値で転売、トラブルも

 アプリは紅葉八幡宮が現在の場所に移って350年を記念し、2016年11月に公式ホームページ(HP)で公開。アプリをスマホやタブレット端末にダウンロードし、内蔵カメラを御朱印にかざすと、画面上で御朱印が金色に輝きだし、宮司が姿を現す。その後、安産の神・神功(じんぐう)皇后ら紅葉八幡宮の祭神が次々と登場し、「おはなし」をタップすれば、説明が表示される。

 スマホを傾けると、祭神をさまざまな角度から見ることもできる。3Dアニメの宮司の声は、平山晶生(あきお)宮司(61)の肉声を使うなど細部にこだわった。平山宮司は「御朱印を集めるだけで終わらせず、神社のことをもっと知ってほしいと考えました。特に若い世代に神社に親しんでもらいたかった」とアプリ導入の目的を明かす。

 アプリの開発を行ったのは、紅葉八幡宮のHPの管理などを行っている光組(ひかりぐみ、福岡県大牟田市)。徳永興範(おきのり)社長(48)は「平山宮司の希望を反映し、祭神は若い世代が親しみやすいデザインにした。『神様への冒涜(ぼうとく)だ』など、ある程度の批判も覚悟したが、今のところ、ほとんどありません」と話す。

■改元記念で「金墨」

 道内でも、工夫を凝らし、評判となっている御朱印がある。国内最大の全長45メートルの涅槃(ねはん)像が鎮座する舎利山仏願寺(しゃりざんふつがんじ、札幌市南区)だ。5月の連休中には改元を記念して金墨で記した御朱印を配布。さらに5月3~5日は北海道国際水墨画協会会長の李鉄君(り・てつくん)さん(59)が参拝者の希望する梅やアジサイ、サクラなどの水墨画を描くサービスも行った。

 李さんは「(出身の)中国には御朱印を集める文化はなく、初めての体験でした。参拝者の方に喜んでもらい、うれしかった」と語る。仏願寺では、今後も定期的に特別な御朱印を企画していく考えだ。(柳澤郷介)

<関連サイト>

 紅葉八幡宮(http://momijihachimangu.or.jp/)

 舎利山仏願寺(http://www.butsuganji.jp/)

■「コレクション約3000個」 古今御朱印研究室主宰の村上哲基さん

 全国の御朱印(ごしゅいん)の歴史を調べ、私設の古今御朱印研究室(東京)を主宰する村上哲基(てつき)さん(52)によると、御朱印のルーツは、江戸時代にさかのぼる。神社や寺で参拝や写経した証しとして「納経(のうきょう)」を授与するようになり、現在の御朱印帳は「納経帳」と呼ばれていた。

 当時、庶民は自由な移動が認められていなかったが、旅の目的として「寺社参詣(さんけい)」と「温泉湯治(とうじ)」は例外的に認められていた。「参拝を理由に旅したが、純粋な信仰だけでなく観光の意味合いもあったようです」

 大正後期の1920年代、鉄道などの交通網が整うのに伴い、第1次ブームが到来。この人気を受け、郵便局や観光地でも記念スタンプが誕生し、「昭和10年(1935年)ごろにブームはピークを迎え、記念印との差別化を図るため、『御朱印』と言うようになりました。これを集める集印こそ、スタンプラリーの原点なんです」を指摘する。

 当時も、ブームが過熱した結果、日付や寺社名などの手書きが減り、スタンプだけに簡素化された。「簡素化は、ブームの弊害と言えます」。その後、太平洋戦争でブームは下火になったが、「手書きが復活し、一般化するのは1970年代になってからです」。伊勢神宮(三重県)は、今でも印だけのシンプルなものを続けている。

 村上さんが会社勤務の傍ら、御朱印集めを始めたのは1989年(平成元年)。認知度がまだ低く、「印を頂けることすら一般的には知られておらず、『若いのに奇特ですね』と言われました」。それが、この10年で会員制交流サイト(SNS)が進歩し、「インスタ映え」するなどの理由で人気が再燃。改元を機に、再び沸騰したという。

 約3千個のコレクションを誇る村上さん自身、令和初日の5月1日は、勤務を休んで明治神宮(東京)を訪れたが、あまりの長蛇の列に断念。靖国神社(同)に切り替え、2時間並んで入手したという。

 「記念日のものがほしい気持ちは分かりますが、御朱印は参拝の証し。寺社に応じる義務はありません。自ら足を運び、長時間並んだ苦労があるからこそ、感動も生まれる。店で買ったトロフィーや賞状に価値がないのと一緒です。また、手間暇のかかる凝った御朱印にしたところ、人気が出過ぎて職員が対応できなくなり、簡素なものに戻るという現象は過去にも起きています」と指摘。転売したり、集客を目当てに過剰に華美な御朱印にしたりすることに疑問を投げかける。(内山岳志)

■「境内の雰囲気も味わって」 道内の御朱印に関する著書「御朱印帳とめぐる北海道の神社70」の著者・梅村敦子さん 


 道内の御朱印(ごしゅいん)について著書「御朱印帳とめぐる北海道の神社70」(2017年、北海道新聞社)をまとめた梅村敦子さん(56)=札幌=に、御朱印集めの作法を聞いた。(聞き手・内山岳志)

 ――御朱印をもらう手順を教えて下さい。

 「神社の場合、訪れたら、まず奉っている神様に対面し、参拝をします。次に、そこに建てられた由来やその歴史について学ぶと、より深まります。御朱印をもらうのは、それからです。御朱印を押してもらう御朱印帳を用意している神社もあります。北海道神宮(札幌市中央区)は2種類あり、道外の愛好家から人気が高いですね」

 ――社務所などが窓口なんですね。

 「そこで神職にお願いします。不在の場合は、事前に書き置きした御朱印をもらえる神社もあります。事前に問い合わせてみて下さい。西野神社(札幌市西区)では、干支(えと)をあしらったものを用意するなど、各神社とも工夫を凝らしています」

 ――注意する点は?

 「お守りを買う感覚で、御朱印をもらうのは避けましょう。あくまで参拝の証しとして『いただくもの』。地元の氏子の浄財により、支えられているものです。ただの『コレクション対象』とは違うと思います。待たされて罵声を浴びせたり、書き置きは嫌などと文句を言ったりするのは、趣旨を履き違えています」

 ――梅村さんの自身の楽しみ方を教えて下さい。

 「安産や学業成就など、神社によってお参りの目的をはっきり定めています。また、同じ神社で何回ももらうのも良い。『御朱印が新調された』など変化を感じることもできます。境内の雰囲気も好きなので、じっくり味わってほしいですね」

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