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奨学金の返還 救済へ一層の工夫必要

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 奨学金の返還を巡り、日本学生支援機構が、保証人には未返還分の半額しか支払い義務がないことを伝えず、全額請求したのは違法ではないか―。

 そう主張する道内外の保証人らが、機構に支払金の一部返金や慰謝料の支払いを求め、札幌地裁などに提訴した。保証人が過払いを理由に、返金を求める訴訟は全国で初めてだ。

 半額の義務に関し、機構は「申し出た場合のみ認める権利」とし、申し出なかった人からは全額回収し、返還にも応じていない。

 これでは保証人の間に不公平が生じてしまう。

 法知識の乏しい保証人に原則を伝えず、全額回収するのは誠実な態度とは言えまい。

 奨学金を借りる際は、父母ら連帯保証人と、4親等内の親族ら保証人を1人ずつ立てる。

 本人と連帯保証人が返済できなくなると、保証人の支払額は民法の「分別の利益」に基づき、連帯保証人を含めた保証人の数で等分されるため、半額になる。

 機構が全額請求したのは、2017年度までの8年間で延べ825人計約13億円に上り、9割以上が支払ったという。同様の訴えが広がる可能性があろう。

 問題の背景に、奨学金の返済に苦しむ若者が少なくない現実があることも見逃せない。

 機構によると、奨学金を返済している人の自己破産は、16年度までの5年間で8千人強に上り、連帯保証人と保証人を加えると、1万5千人を超えた。

 借金を返すのは当然であり、機構が回収に努める責任があるとしても、今回のようなやり方は行き過ぎではないか。

 もはや賃金が右肩上がりの時代ではなく、就職すれば返済のめどがつくわけではない。

 非正規雇用が拡大し、卒業後も返済に追われ、結婚や出産を控えざるを得ない人もいる。

 親の平均給与が伸び悩む一方、大学の授業料は過去30年間で約1・6倍に増えている。

 こうした事情を考慮すれば、減免措置や給付型奨学金の拡充は喫緊の課題と言えよう。

 保証人の負担問題を巡っては、政府は、学生が保証機関に保証料を支払う制度へ切り替えることをを検討している。

 機構は返済猶予期間や収入に応じた返済額の設定などを導入しているが、教育に携わる機関として、学生を救済する方向で一層の工夫を求めたい。

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