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<1>居場所はここに いろいろな子、打ち明ける場

 1月下旬、管内のある高校の保健室。午前中の授業が終わった生徒たちが次々とやってきた。「具合が悪い」とマスク姿の男子生徒。続いて訪れた女子生徒2人は、新しくできた飲食チェーン店の話をしながら、弁当を食べ始めた。「センセー、久しぶりじゃん」。茶髪でダボっとした私服姿の男子が勢いよく入ってきた。卒業生だ。

 「いつから? 熱は?」

 「そこのお店、先生も行ったことあるよ」

 「なしたの? ちゃんと来客玄関を通った?」

 養護教諭歴約30年の畑中先生=仮名=が1人ずつ声を掛ける。

 保健室はどんな場所なのだろう。「保健室が1番落ち着く。教室は嫌い」。弁当を食べていた女子が言う。茶髪の卒業生は「保健室は自由だけど、自分がしっかりしてないとダメな感じのとこ」とつぶやいた。

 公益財団法人日本学校保健会(東京)が全国の小中高校を対象に2016年度に行った調査によると、高校生の来室の理由は「けがの手当て」「体調が悪い」「先生と話をしたい」と多様だ。健康相談の内容は「身体症状」(31%)が最も多く、「友達との人間関係」(21・4%)、「家族との人間関係」「進路の悩み」「漠然とした悩み」(いずれも6・8%)と続く。性や発達障害に関する内容もある。

 保健室には動物のぬいぐるみやキャラクターの塗り絵の本が置かれ、本棚には心と体の健康やスポーツに関する本が並ぶ。生徒がリラックスして話しやすいように配慮したものだ。

 昼休みが終わる。畑中先生に促されて、男子生徒以外が部屋を出た。「ここからはレン君=仮名=の時間だよ」と先生が声を掛け生徒と向き合う。「これ以上、まわりに迷惑かけられないし」「しんどい」。生徒が一言ずつ、絞り出すように話し始めた。家のこと。心身の調子のこと。

 先生は必要に応じて医療、福祉機関と情報を共有し、生徒の支援につなげる。他の先生にはこう呼びかけている。「目立つ子ばかり、見ないで」

 ◇養護教諭と保健室◇ 1905年(明治38年)、当時流行していた目の感染症予防のため、岐阜県の小学校に学校看護師が配置されたことが始まりとされる。第2次世界大戦後、学校教育法で「(児童生徒の)養護をつかさどる」として位置づけられた。学校保健安全法では保健室の役割を、健康診断、健康相談、保健指導、救急処置その他の保健に関する措置を行うとしている。


 学校の保健室に訪れるのは、ケガや急病の子どもばかりではない。時に、いろいろな事情を抱えた児童生徒のよりどころになっている。十勝管内の公立高校の保健室を舞台に、「最近の若者」という一言ではくくれない、高校生の姿を切り取った。(文は小坂真希、写真は北波智史が担当し、5回連載します)

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