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<上川 目指せ北の山岳リゾート>上 「層雲峡頼み」打ち破れ

 大雪山系が間近に迫る高台に立つイタリアンレストラン「フラテッロ・ディ・ミクニ」。客が手に持つグラスに入っているのはワインではない。地元・上川管内上川町の酒蔵「緑丘蔵(りょっきゅうぐら)」の純米大吟醸だ。札幌の会社員、浜口真希子さん(53)は「こんなすてきな景色の中で、料理に合ったおいしい地酒を楽しめるなんて」と笑顔をみせた。

日本酒も目玉

 浜口さんが参加したのは、JTBが昨年9月に行った札幌発着のバスツアー。「地酒を中心に上川の新たな魅力を知ってもらおう」と町がJTBに持ちかけ、実現した。佐藤芳治町長(70)自らガイドを務める力の入りようで、参加した28人は酒蔵の見学や観光庭園の散策などを楽しみ、層雲峡温泉に宿泊。浜口さんは「この町にまた来たい」と声を弾ませた。

 「観光といえば層雲峡一辺倒だった」(町職員)という上川町で今、新たな観光拠点が相次ぎ誕生している。町は中心街から約10キロ離れた町旭ケ丘地区に、著名なシェフ三国清三さんがオーナーシェフの「フラテッロ・ディ・ミクニ」を併設する観光庭園「大雪森のガーデン」を2013年に開業。さらに、17年5月には町の協力を得て、上川大雪酒造が道内12番目の酒蔵「緑丘蔵」を開業した。

 緑丘蔵の杜氏(とうじ)には、かつて金滴酒造(空知管内新十津川町)で全国新酒鑑評会の金賞受賞酒を造った川端慎治さん(49)を招聘(しょうへい)。川端さんは「大雪山の水はやわらか。酒に適している」と太鼓判を押す。

誇れるマチに

 町を突き動かしたのは「温泉だけでは町の観光産業は続かない」という危機感だった。層雲峡温泉の観光客数は減少に歯止めがかからず、有効な策を打ち出せないでいたからだ。

 17年3月に、町は「北の山岳リゾート構想」を打ち出した。大雪山系の豊かな自然を呼び水に、食と酒を両輪とする観光拠点を複数設け、訪れた人に層雲峡も含めて周遊してもらう。従来の通過型から滞在型観光への転換が狙いだ。

 モデルは、マッターホルンの麓に広がるスイスの小さな村ツェルマット。佐藤町長が町職員だった30年前に研修で訪れ、自然と観光を共存させていた村の光景に感動した。夏は登山やサイクリング、冬はスキーを楽しむため世界各地の観光客が集まっていた。

 上川と同じ山に囲まれ、人口規模も同程度なのにカフェやレストランが多く、住民は土地に誇りを持っている。「目指すべき姿はツェルマットにある」。佐藤町長は力を込めた。(旭川報道部の佐々木麻美が担当し、3回連載します)

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