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長距離ミサイル 専守の形骸化危惧する

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 防衛省は戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルを初めて開発する方針を明らかにした。現在200キロ程度の射程を400キロ以上に伸ばす計画だという。

 岩屋毅防衛相は「諸外国の艦艇に射程が長い対空火器の導入が進んでいる」と述べ、中国などの海軍能力向上を念頭に置いていることを明らかにした。

 力には力で対応するのでは軍拡競争そのものではないか。

 防衛省はすでに射程900キロの海外製の導入を決定している。新規開発する国産を含め、日本海から北朝鮮内陸部まで届く能力のあるミサイルを持つことになる。

 防衛のためと言いながら、事実上、敵基地攻撃能力の保有につながり、憲法の平和主義を踏まえた専守防衛を逸脱しかねない。

 脅威を強調して装備品を増強する安倍晋三政権の姿勢に危惧を覚える。

 政府は昨年末に閣議決定した防衛計画の大綱に、敵の射程圏外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」の強化を盛り込んだ。今回の開発はこれを受けたものだ。

 防衛省はこのほかにも護衛艦「いずも」の事実上の空母化や、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入も進めている。これらも攻撃性が強い。

 日本が戦後貫いてきた専守防衛の形骸化が懸念される。

 装備品を巡る問題はまだある。

 高額の装備品を一括購入する際、最長10年まで分割払いを認める特別措置法が今月末で失効するため、政府は同法を5年延長する改正案を国会に提出している。

 長期契約のまとめ買いで調達費の縮減が期待できると説明するが、どれほど効果があるのか。

 最新鋭の装備を米政府から直接購入する対外有償軍事援助(FMS)の仕組みに特措法を適用し、米国からの調達を増やすことが真の狙いではないのか。

 2019年度予算案ではFMSに特措法を初めて適用することを前提に、FMSによる武器購入費は7千億円超を見込む。

 FMSは米側の「言い値」に近い価格で取引するため、調達費を押し上げ、19年度は10年前の10倍超だ。分割払いで後年度負担も増え、予算の硬直化を招いている。

 自衛隊は隊員のなり手不足など多くの課題を抱える。装備品ばかりに予算をつぎ込むわけにはいくまい。

 こうした問題を巡る国会論戦は低調だ。与野党ともきちんとチェック機能を果たしてもらいたい。

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