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道南 薄れる新幹線効果 開業3年 駅前は依然空き地/観光客も減速傾向

道南 薄れる新幹線効果 開業3年 駅前は依然空き地/観光客も減速傾向

 【函館、北斗、七飯】北海道新幹線(新青森―新函館北斗)の開業から26日で3年となる。玄関口、新函館北斗駅前は、企業や商業施設の進出が進まず、依然として広大な空き地が広がる。道南全体を見れば、新幹線は観光客数の底上げやホテル建設をはじめとした民間投資が活性化するなど経済を着実に押し上げた。ただ、乗車率の低迷もあり、その効果は薄れてきている。

 新函館北斗駅から新幹線で東京方面に向かう埼玉県の会社員田中庸公さん(50)は20日、立ち寄った駅隣の北斗市観光交流センター別館にある飲食物販スペース「ほっくる」で驚きの表情を見せた。「駅前なのに北海道ならではの海鮮料理を出す店がないとは」。営業中の飲食店のメニューは麺類中心だった。

 ほっくるは新幹線開業1年後の2017年3月、18店で営業を開始。売り上げ低迷で撤退が相次ぎ、今年3月末にも1店閉店して10店となる。昨年撤退した物販店業者は「駅からの動線改善を市に要望したが対応してくれなかった」と不満げだ。

 開業に合わせ、市は34億円かけて駅前の区画整理を行ったものの、約5・3ヘクタールの商業地のうち4割以上は空き地のまま。12月にホテル「東横イン」、20年夏に別のホテルを中心とした新商業施設の建設が予定され、池田達雄市長は「企業誘致の呼び水にしたい」と期待する。だが、市内の観光関係者は空き地が広がる現状から、「民間任せにしすぎ。にぎわい創出は市の役割のはずだ」と批判する。

■新たな名所誕生

 一方、北斗市の隣の渡島管内七飯町は、この3年、新幹線効果に沸いた。駅の北約2・5キロの国道沿いに昨年3月開業した道の駅「なないろ・ななえ」は、道南の地場産品を幅広くそろえて観光客や地元客の心をつかみ、11カ月で目標の年間利用者90万人を大幅に上回る100万人を突破。新たな観光名所に成長した。

 新幹線の車両基地や関連企業で働く従業員の定住促進策が奏功し、16、17年は転入者数が転出者数を上回る「社会増」が年間100人超となった。ただ、18年は転入者が大幅に減り、9年ぶりに「社会減」に。町の中村雄司政策推進課長は「企業進出が一巡し、新幹線による人口減の抑制効果は薄れた」と話す。

 函館市では、17年度の観光客数が前年度比6・4%減の524万7千人だった。新幹線開業前の15年度を6・1%上回るものの、過去最高を記録した16年度の560万7千人からは減速している。

 18年度上期は胆振東部地震の影響もあって前年同期比3・9%減の325万1千人に落ち込んだが、外国人観光客の宿泊数は2年連続で過去最高を更新。函館ホテル旅館協同組合の遠藤浩司理事長は「開業時に比べると勢いは落ちたが、健闘している」とする。観光需要を背景に、函館では民間投資が活発で、20年度までにJR函館駅周辺を中心に6ホテルが開業予定。客室数は計2千室近く増える見通しだ。

■金沢との差歴然

 日銀函館支店によると、新幹線による道南への経済効果は16~18年度の3年間で約710億円。16年度390億円、17年度210億円、18年度110億円と年々減少している。15年3月に開業した北陸新幹線(金沢―東京)では、開業3年目の石川県への経済効果は、開業初年度の8割程度を維持しており、その差は歴然としている。

 同支店は、東京までの乗車時間が金沢からは2時間半なのに比べ、道南からは約4時間かかることが、経済効果急落の背景と分析する。井上広隆支店長は「距離が近い東北や訪日外国人が集中しているニセコ地区から道南に観光客を呼び込む取り組みが必要」と指摘している。(合津和之、伊藤正倫、伊藤友佳子)

■乗車率は年々低下

 北海道新幹線(新青森―新函館北斗間)の乗車率は、開業実質初年度の2016年度が32%、17年度が26%、18年度(2月末まで)が24%と年々低下している。

 閑散期と繁忙期の差も大きく、観光シーズンの8月の乗車率が30~40%台なのに、1、2月の乗車率は3年連続10%台にとどまる。17年度の決算では、北海道新幹線は98億円の赤字を計上、JR北海道の経営を圧迫している。

 JRは30年度末を予定する札幌延伸で、北海道新幹線の採算は大幅に改善すると見込んでいる。島田修社長は「東京―札幌間4時間半を実現できれば、鉄道利用のシェアが増える」と強調する。

 しかし、高速走行の実現には、最高時速を現在の260キロから320キロに引き上げることや、時速140~160キロに制限しているJR貨物との共用走行区間の見直しが必要で、解決への道筋は見通せていない。(本庄彩芳)

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