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道知事選告示 自治確立へ大いに議論を

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 道知事選がきのう告示された。

 立候補を届け出たのは、元衆院議員の石川知裕氏(45)と前夕張市長の鈴木直道氏(38)である。

 現職の高橋はるみ氏(65)の不出馬により、16年ぶりの新人対決となった。

 立憲民主党など野党5党が推す石川氏に対し、鈴木氏は自民党と公明党の推薦を受けた。統一地方選で行われる11知事選で唯一の与野党対決型であり、双方の力量が問われる選挙戦となろう。

 ただ、こうした政治的な構図ばかりにとらわれては、知事選の持つ意味を見失いかねない。

 北海道は全国よりも速いペースで進む高齢化と人口減少に悩む。札幌への一極集中の陰で地方の衰退に拍車がかかり、地域によっては消滅の危機さえささやかれる。

 それを乗り切るために必要なのは、広大な面積に集落が点在する北海道で住民が豊かに暮らし続けられる未来をどう切り開くのかを、道民自らが主体的に考える自治の視点である。

 両氏には選挙戦を通して、北海道の自治確立に向けた理念や政策を徹底的に論じてもらいたい。

■国の分権改革で疲弊

 2000年施行の地方分権一括法で、国と地方自治体が対等とされてから20年近くがたつ。

 では、国と自治体の関係は、果たして対等になったのか。

 国や都道府県からの権限移譲の受け皿づくりを狙った市町村合併は、行政区域が広がった分、かえって中心部と周縁部の格差が広がり、地域の活力がそがれたところも少なくない。

 国から地方への税源移譲と補助金削減、地方交付税の見直しを同時に行う三位一体改革も、交付税の削減額が税源移譲を大きく上回り、自治体財政の手足を縛った。

 全国を10程度の道と州に再編して国の権限と財源を大幅に移す道州制をにらみ、道内限定の道州制特区推進法が制定された。

 しかし、特区を利用して国から道に移譲された権限はないに等しく、国と地方の「上下関係」を変える突破口にならなかった。

 結局のところ、国が地方分権改革の名の下で推し進めた政策を後追いした結果、逆に自治が細り、疲弊の度合いを増したというのが北海道の実情だろう。

 それだけに、新しい知事は、中央主導でなく、住民や自治体が求める自治を確立するためのビジョンを打ち出す必要がある。

■物申す姿勢欠かせぬ

 北海道の自治に関する両候補の発言は、いずれも積極的だ。

 十勝管内足寄町の出身で、国政の場で地元課題の解決を模索してきた石川氏は「北海道独立宣言」を旗印に「自主独立の気概で元気な北海道をつくる」と訴える。

 鈴木氏は、全国唯一の財政再生団体である夕張市の市長を8年間務めた経験を踏まえ、「道民目線、道民第一の姿勢で活力ある北海道を実現する」と主張する。

 両者の違いが見えるのは、政策を実現する際の国との距離感だ。

 野党統一候補の石川氏は「中央に依存も対立もしない」と一歩引く。政権与党の推薦を受ける鈴木氏は「国の制度を徹底的に利用する」との立場だ。

 大切なのは、国に「お願い」するのではなく、北海道の実情に基づいた意見をはっきりと政権に伝え、議論を戦わせた上で、地域の自立に向けた道筋を描くことだ。

 政策の実現には、財源の裏付けも欠かせない。

 ところが、国は三位一体改革の後も、自治体の基金残高の増加などを理由に地方交付税の削減を持ち出す。

 そもそも交付税は国が配分しているとはいえ、地方の固有の財源であり、国の都合で安易に減らすのは筋違いだ。

 こうした流れを断ち切らなければ、自治の拡充もあり得まい。

 次の知事は、全国知事会とも連携して、交付税を本来の趣旨に沿って確保するよう、国に改めて要求すべきだ。

■争点の答えを明確に

 石川氏は胆振管内厚真町、鈴木氏は同管内安平町で、それぞれ第一声を上げた。

 胆振東部地震の被災地から遊説を始め、復興や防災に力点を置く姿をアピールした。

 道民の生命と財産を守るのは知事の最大の仕事だ。災害に強い地域づくりについても、議論を深めてほしい。

 胆振東部地震では、国内初の全域停電(ブラックアウト)が起きた。泊原発の再稼働を含めた道内のエネルギーの将来像を示す必要があろう。

 JR北海道の路線見直しやカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致も決断を迫られる。

 両氏は課題ごとに見解を明確にし、有権者に具体的な選択肢を示してもらいたい。

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