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<NISEKOで暮らす>上 ウインタースタッフ 冬を支える外国人住民

<NISEKOで暮らす>上 ウインタースタッフ 冬を支える外国人住民
レストランで働くチャーリー・マクメネミーさん(左)。日中はスキー指導員として働き、「食べ物でアジアを感じつつ、スキーも満喫できるのがニセコの魅力」と話す=2月26日、倶知安町
レストランで働くチャーリー・マクメネミーさん(左)。日中はスキー指導員として働き、「食べ物でアジアを感じつつ、スキーも満喫できるのがニセコの魅力」と話す=2月26日、倶知安町
外国人観光客らでにぎわうニセコグラン・ヒラフスキー場。朝はリフトに長い列ができる=2月中旬、倶知安町(いずれも堀田昭一撮影)
外国人観光客らでにぎわうニセコグラン・ヒラフスキー場。朝はリフトに長い列ができる=2月中旬、倶知安町(いずれも堀田昭一撮影)
<NISEKOで暮らす>上 ウインタースタッフ 冬を支える外国人住民

 「スーパーマンみたいに堂々と前を向いて」。6日朝、後志管内倶知安町のニセコグラン・ヒラフスキー場。ドイツ人指導員のローラ・フックスさん(28)がスノーボードの授業で、香港からの受講生に英語でアドバイスした。

 「パウダースノーが最高」と友達に勧められ、ワーキングホリデーを利用し、昨年11月に初めてNISEKO(ニセコ)に来た。5月まで週5日働き、休日は自分の滑りを楽しむ。夏には雪を求め、オーストラリアに向かうという。

 冬のニセコ地域(倶知安町、同管内ニセコ町)は外国人観光客であふれ、英語が「公用語」になる。スキー場やホテルで働き、リゾートを支えているのが、ウインタースタッフと呼ばれる冬季限定の外国人従業員だ。

 宿泊施設の増加に伴い、今冬は推計1800人と10年前の7倍に。年間延べ70万人近い外国人観光客を迎え入れるニセコは今、外国人従業員なしでは回らない。

■人材入れ替わり激しく 課題の通年雇用、模索始まる

 倶知安町のニセコグラン・ヒラフスキー場周辺に広がるニセコ地域最大のリゾートエリア「ひらふ地区」。立ち並ぶコンドミニアム(分譲マンション型別荘)の一つに入るレストランで、英国人のチャーリー・マクメネミーさん(19)はアルバイトとして働く。

 働きながら外国に滞在するワーキングホリデー制度を利用して昨年12月に初来日。冬季の3カ月間、日中はスキー指導員をしながらニセコのパウダースノーを堪能する。昼食は受講生と一緒にすし屋やラーメン店に入り、「アジア旅行」の気分も味わう。「ここは天国だよ」と目を輝かせた。

■英語でスキー指導

 倶知安、ニセコ両町の外国人住民は1月末現在で計2567人と、前年同月比479人増。2567人のうち、夏の人口との差から今冬のウインタースタッフは約1800人と推定される。特にスキー指導員が多く、少なくとも800人に上る。

 多くは会社が所有するリゾート周辺や市街地でアパートや一軒家を同僚と共同で借り、ルームシェアで暮らす。普段は自炊し、休日はスキーざんまい。世界のスキー客を魅了するパウダースノーを楽しめる環境に加え、外国人住民らをニセコに呼び込んでいるのは「言葉の壁のなさ」だ。

 英語圏の観光客が多く、職場で求められるのは英語。外国人住民の半数以上は英語圏のオーストラリア人らが占める。反対に「英語が壁になる」(倶知安町のホテル)ため、日本人の採用は少ない。

 オーストラリア人のアシュレイ・トーマスさん(28)は、アジアなどの富裕層向けに少人数のレッスンでスキーを教える。ニセコの冬は4回目。「ここは日本語を全く話せなくても大丈夫なのがいい」

■在留は最長1年半

 マチをにぎわす外国人スタッフだが、多くはスキー場が閉じる5月までにニセコを離れる。日本と季節が逆の南半球のスキー場などで働くためだ。次の冬に戻ってくる人もいるが、大半は新しい人材に入れ替わる。ワーキングホリデーの資格で在留する外国人が多く、倶知安町では外国人全体のおよそ6割。在留期間は最長1年半で、1人1回しか利用できない。

 入れ替わりの激しさに、サービスの低下を懸念する声も。同町でリゾートを運営する日本ハーモニーリゾートのコリン・ハクウォース社長は「おもてなしとは同じ人が相手を知り、接客することだ」と指摘する。

 地元住民との摩擦も、一部で出始めている。

 「ひどいでしょ」。リゾートに近く、従業員寮の多い倶知安町樺山で、町内会長の石塚宣夫さん(78)が指さす。自宅前のごみステーションには、大量の空き缶などが散乱していた。

 何人もの外国人が定期的に社用車らしき車で捨てていくという。町は3年前、ルールが守られていないとしてリゾート地区のごみステーションを撤去。各事業者が自らごみを処理することにしたが、逆に周辺で、分別しないなどルール違反のごみが増えた。

 石塚さんは「町内会に入ってくれる外国人とはうまくやれている。お互いに顔の見える関係を築くことが重要だ」と感じている。

 これらの課題解決につなげようと、スタッフの通年滞在を促す動きもある。

 後志総合振興局は2月下旬、地元の求人を紹介する「夏の就業フェア」を倶知安町で開いた。102人が来場し既に外国人2人を含む5人の就職が決まった。

 ただ、外国人の求人は日本人の半分以下。夏は観光客のほとんどが日本人で、日本語が必要となることが大きいという。担当者は訴える。「裏方の仕事でも外国人を受け入れることが大事。通年雇用でないと地域の活性化につながらない」

 今冬、外国人が全住民の1割を超えたニセコ地域。どう暮らし、受け入れるマチはどう変わったのか。国際化の道内最前線で、共生の現場を追う。(倶知安支局の堀田昭一と内本智子が担当し、3回連載します)

 <ことば>ニセコ地域 後志管内のニセコアンヌプリ(1308メートル)を中心に広がるスキーリゾート。倶知安町側にニセコグラン・ヒラフとニセコHANAZONOリゾート、ニセコ町側にニセコアンヌプリ国際とニセコビレッジの計4スキー場がある。ニセコモイワスキーリゾート(ニセコ町)や同管内蘭越町まで含める場合もある。2001年の米同時多発テロをきっかけとして北米のスキー場を敬遠した世界のスキーヤーから注目され、主に倶知安町側で外資系ホテルなどの開発が相次いでいる。17年度の外国人延べ宿泊者数は倶知安町43万人、ニセコ町21万人。

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