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有給休暇消化へ模索続く 4月から企業に年5日義務付け 取得日「見える化」/業務スリム化

 国の働き方改革の一環で、4月から労働者に年5日の年次有給休暇(有休)の取得が義務付けられる。円滑に有休を取得するためにはどのような仕組みや工夫が必要なのか。すでに取り組みを進めている企業の事例から考えた。

 IT企業「アイ・ティ・エス」(札幌市中央区)は10年前から、社内のオンライン上で社員全員の有休取得日が把握できるシステムを導入している。誰がいつ休暇を取るかを「見える化」し、休みを取りやすくするためだ。河瀬恭弘社長(57)が昨年3月から、月に1度の朝会で全社員に有休を積極的に取るよう呼びかけ、年に1度の社長面談でも休暇の取得状況を確認している。

 新年度の有休取得計画一覧表も部署ごとに作成中。社員が回覧し、取得予定日を書き込む。河瀬社長は「しっかりと休みを取り、家族とゆっくり過ごし、新たなことにチャレンジする時間にしてほしい」と話す。

 情報処理会社の恵和ビジネス(札幌市中央区)は管理職の定例会議で部署ごとの有休取得率をグラフ化して発表している。取得が伸び悩んでいる部署は原因を探り、業務を改善できる方法を考える。

 3年前から、ゴールデンウイークや年末年始に組み合わせた有休取得の「奨励日」も設け、長期の連休を取れる仕組みも作った。2017年度の有休取得率は52%、18年度はほぼ60%に達する見通しで、19年度は70%を目指す。渡辺淳也社長(46)は「かつては有休を取ることに罪悪感がある社員も多かったが、今は遠慮するような雰囲気はない。休日をしっかり取得することで、社員が長く健康で働ける企業を目指したい」と強調する。

 有休取得に結びつけるために、具体的に業務のスリム化策を提示する企業もある。丸井今井札幌本店は従業員に、会議時間削減のため配布書類の枚数を減らしたり、データ化してメールで送るよう周知。社内のメールも事例を示し、文章を簡略化するよう促す。

 本年度からはグループ企業全体で、月給制の社員の有休の目標取得率を数値化。マネジャー以上は55%、部長職以上は30%以上とし、目標達成を呼びかけてきた。新年度からは部長職以上も目標を55%以上にする。経営企画アシスタントマネジャーの荻原可奈絵さん(32)は「仕事を見直し工夫することで、休みが取りやすい環境を整えたい」と言う。

 国の18年就労条件総合調査によると、17年の労働者1人当たりの有休付与日数は平均18・2日なのに対し、取得日数は平均9・3日と半分だ。働き方改革に伴う労働基準法の改正で、4月からすべての使用者は年10日以上の有休が付与されている労働者に対し、最低5日間の有休を取得させることが義務付けられる。違反した場合は30万円以下の罰金が課されることもあり、企業は有休取得に向けた対応を迫られている。

 働き方の見直しに詳しい、NPO法人ファザーリング・ジャパン(東京)理事の川島高之さんは「有休取得を向上させるためには、企業のトップが有休を取るようメッセージを発することが大切」とした上で「働き方改革は生き方改革でもある。従業員も義務的に休むのではなく、自分の人生を楽しみ、充実させるために自主的に休みを取ってほしい」と呼びかけている。(片山由紀)

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