PR
PR

官邸の質問制限 「知る権利」狭める恐れ

[PR]

 政府が記者会見で、自らに都合の悪い質問をする記者を排除するのなら、それは権力を持つ側の、ただの宣伝の場となろう。

 首相官邸は昨年末、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設を巡り、東京新聞の記者が官房長官会見で事実誤認の質問を繰り返したとして「事実を踏まえた質問」を要請する文書を記者クラブに提出した。

 報道機関の務めは権力監視である。疑問をぶつけなければその役割は果たせない。質問に異議があるなら反論すればいいだけだ。

 記者の選別は許されない。

 「質問制限」ではなく、むしろ積極的に答えるのが政府のあるべき対応ではないのか。

 日本新聞労働組合連合(新聞労連)は先週、抗議の声明を出し「悪(あ)しき前例として日本各地に広まることも危惧する」と指摘した。

 憲法は「表現の自由」を基本的人権の一つとし、それによって国民の「知る権利」を保障している。その権利を狭めるようなことがあってはならない。

 きっかけとなった質問は昨年12月26日、名護市辺野古沿岸部への土砂投入に関するものだった。

 記者は「現場では今、赤土が広がっております」「埋め立てが適法に進んでいるか確認ができておりません」などと指摘し、政府がどう対処するのかを聞いた。

 赤土は希少なサンゴを死滅させる原因ともなる。沖縄県が埋め立て承認を撤回する中、沖縄防衛局は工事を強行し続けている。政府の見解をぜひ聞きたいところだ。

 菅氏は「法に基づいて行っています」「そんなことはありません」と短く答えるだけだった。

 その2日後、官邸は記者クラブへの文書で、対象海域の汚濁防止措置などを講じたことを挙げ「汚濁が広がっているかのような表現は適切でない」と反論した。

 しかし土砂投入後、海が褐色に濁ったことは周知の事実だ。沖縄防衛局は県が求めた立ち入り検査に応じていない。「事実誤認」と言うには、根拠が乏しい。

 菅氏の会見を巡っては、以前からこの記者の質問中に司会役の報道室長が「簡潔にお願いします」などと繰り返し、質問を妨げるような対応が問題視されてきた。

 安倍晋三政権は特定秘密保護法を制定するなど、国民の「知る権利」を狭めようとする姿勢が目立つ。統計調査の不正や森友・加計(かけ)問題の真相究明に向けた情報開示も不十分だ。

 記者会見は、広く国民の疑問に答える場と考えてもらいたい。

どうしん電子版のご案内
北海道新聞 購読の申し込みはこちらから
新聞配達スタッフ募集
PR
ページの先頭へ戻る