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カード情報捜査 令状なしは人権脅かす

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 驚くべき事態である。

 約6700万人もの会員が登録するポイントカード「Tカード」を事業展開する会社から、捜査当局がさまざまな個人情報をひそかに入手していた。

 会員の氏名や電話番号のほか、商品購入で得たポイント履歴や借りたビデオのタイトルなどが含まれているようだ。

 「捜査関係事項照会」という刑事訴訟法に基づく手続きだとしても、任意という位置付けで、裁判所の令状なしで行われているのは極めて問題だ。

 プライバシーや思想・信条の自由といった人権を大きく脅かす不安が拭えない。

 捜査当局はまず実態を明らかにする必要がある。その上で、こうした手法を改め、捜査上どうしても必要な場合は令状を取って照会・収集する原則を守るべきだ。

 Tカードの提携先は多岐にわたる。レンタル履歴の照会は主に性犯罪の捜査に活用し、商品の購入履歴は容疑者の生活や足取りなどを調べる狙いがあるのだろう。

 とはいえ、裁判所という外部のチェックを経ずに個人情報を入手する行為は一線を越えていると言わざるを得ない。情報収集への制約がなくなる恐れもある。

 加えて懸念されるのは、当局が他の複数の企業からも個人情報を任意で取得している可能性があることだ。不適切な収集が幅広く常態化しているのではないか。

 衛星利用測位システム(GPS)捜査を巡り、最高裁がプライバシーの侵害を認め、令状なしは違法と断じたのは記憶に新しい。今回の問題も根は同じであり、教訓が生かされていない。

 個人情報保護法は、企業が個人情報の利用目的を本人に通知しなければならないと規定する一方、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)などで目的を公表している場合は例外としている。

 ただし、しばしば長文で難解な保護方針を読み飛ばす消費者は少なくない。これを免罪符にして安易に情報提供に応じるようでは、消費者の信頼を得られまい。

 特に事業でデータを活用する企業は、個人情報の保護や管理に一層重い責任を負う自覚が不可欠だ。令状のない要請は断るなどの毅然(きぜん)とした姿勢を求めたい。

 日本図書館協会は、令状を確認した場合を除き、読書履歴を外部に漏らさないと宣言している。こうした例も参考に、業界として、人権に最大限配慮した情報保護のルール作りを急ぐべきだ。

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