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<小樽 石造り建築を生かす>上 ターゲットは外国人客

 運河に向かってゆるい坂を下ると、石造りの歯科医院やワイン醸造所が軒を連ねる。小樽には随所にある風景。市内には、主に明治、大正期に建った石蔵などが300棟以上残り、約3割が飲食店やガラス細工販売店などとして幅広く使われ、街に溶け込んでいる。

■蔵の宿が人気

 新たな動きもある。外国人観光客をターゲットにした石造り建築の活用だ。土産物店などが並ぶ小樽堺町通り商店街のメルヘン交差点近くに昨年7月に開業した、石蔵を使った1日1組限定の宿「蔵宿 末広」(入船1)には続々と外国人客の予約が入り始めた。

 12月に友人5人と泊まった香港のバリー・ウォンさん(50)は「自然素材の石に温かみを感じリラックスできた。外観は古いのに、中はモダンで感動した」。

 小樽で医薬品卸売業を営んできたニチヤクが自社の石蔵を約1800万円かけて改装。小野英紀専務(43)が「石造り建築に興味を持ち、写真に撮る外国人をよく目にしていて、思い立った」。国際的な宿泊予約サイトにも登録した。

 2階建て、延べ床面積76平方メートル。寝室は2階の14畳の畳敷きで、1階のだんらんスペースは吹き抜けで石積みの壁を見上げられ、キッチンや風呂もある。1人1泊7500~1万3千円で2~6人で宿泊可。アジア圏の客は家族や友人と一緒の部屋に泊まりたい人が多く、バリーさんも「友人全員が同室で休める宿はあまりない」と評価する。

 今月も韓国の6人組が2泊、中国の5人組が5泊する。小野専務は「宿が軌道に乗ったら別の蔵も宿にしたい。宿泊客を増やし小樽に貢献できれば」と語る。

■ギャップ魅力

 「モダンな内装とレトロのギャップで、海外客の心をつかみたい」―。2月に運河近くの3階建ての石蔵でカフェバー「石と鉄」を開く中源博幸さん(33)は意気込む。店名は石蔵の石と鉄道の鉄から。海運業の豪商らが石造り建築を建て、石炭を積み出すために道内初の鉄道が敷設された小樽の歴史を表現している。店内は石壁をむき出しにし、カウンターは鉄製だ。

 中源さんはオーストラリアやシンガポールの飲食店勤務などで英語での接客を修業し、昨年10年ぶりに小樽に帰郷。夢だった自店を開くため物件を探し、石蔵を紹介され「小樽らしさを生かしたい」と思った。2階には6月以降、6人の相部屋と2人用個室があるユースホステルも開く。

 本年度上期の小樽の外国人宿泊客数は前年同期比20・6%増の11万1062人で、過去最高。石造りの魅力を外国人客に訴える可能性はどんどん広がっている。
(小樽報道部の徳留弥生が担当し3回連載します)

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