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日産前会長起訴 裁判で徹底的な審理を

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 日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者について、東京地検特捜部はきのう、日産に私的な損失を付け替えたなどとして特別背任の罪などで追起訴した。

 知名度の高いカリスマ経営者を巡る事件は昨年11月の逮捕以来、大きな節目を迎えたと言える。

 ゴーン被告は、いずれの起訴内容も否認しているという。

 事件の解明は今後、法廷に舞台を移すことになる。裁判では検察、被告双方の主張や証拠について徹底的な審理が求められよう。

 日産も起訴を重く受け止め、内部調査や情報の開示に努めなければならない。

 ゴーン被告は、私的な金融取引による約18億5千万円の評価損を日産に一時付け替えたとされる。

 加えて、これを元に戻す際、評価損の信用保証に協力した知人に、日産子会社から約13億円を送金させた違法性が問われている。

 被告側は日産に実損がないと反論するが、検察は評価損負担のリスクを生じさせた時点で特別背任罪は成立するとみる。

 知人への送金を巡っては、信用保証への「謝礼」とみなす検察側に対し、被告側は業務への正当な対価だと主張する。

 会社法の特別背任罪は、「自分や第三者の利益を図る目的」「任務に反して、会社への財産上の損害を与える」といった複数の要件で構成されている。

 客観的な証拠を積み上げ、説得力のある立証に結び付けられるかが検察の課題となろう。

 ゴーン被告は、直近3年分の役員報酬の一部を隠したとされる、有価証券報告書の虚偽記載罪でも追起訴された。

 役員報酬の虚偽記載を巡っては、先送り分の支払いが確定していたとする検察と、否定する被告側が真っ向から対立している。

 立件に当たっては、司法取引が利用されたという。

 日本では導入されたばかりの制度であり、検察が得た証拠や関係者供述を念入りに調べる必要がある。真偽を見極める裁判所の責務は極めて重大だ。

 一般社員とかけ離れた経営トップの高額報酬、情報開示のあり方、会社の私物化につながるガバナンス(企業統治)の不全―。司法的な手続きとは別に、この事件は多くの問題を提起している。

 日産は100人超の体制で調査に乗り出したようだ。

 顧客の不信感や社員の不安を拭うためにも、判明した事実は、積極的に公表してもらいたい。

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