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白いヒグマ八雲にも 動画撮影6回成功 生態の謎、解明期待

 【八雲】日本大生物資源科学部(神奈川県藤沢市)の研究グループ(代表・井上公基(こうき)教授)が、渡島管内八雲町の演習林で白毛のヒグマの動画撮影に成功した。設置した熱感知カメラが2016年9月から18年7月にかけて計6回捉えた。ヒグマ研究者は毛並みや体格から、同一の雌とみている。野生の白いヒグマは、北方領土の国後島と択捉島で確認されているが、北海道本島で繰り返し撮影されるのは極めて珍しいという。

 北方領土へは自由往来ができないため、白いヒグマの本格的な調査研究が難しく、詳細な生態は分かっていない。八雲で確認されたことで追跡調査や毛の採取によるDNA鑑定など解明が進むことが期待される。

■4歳くらいの雌

 同グループの森林動物学研究室が同町上八雲の演習林(2406ヘクタール)の生息動物を調査するため定点設置したカメラ数十個を回収したところ、白いヒグマが特定の区画で6回映っていた。顔や背中を除き、白い毛に覆われたヒグマがカメラの前を横切ったり、顔を近づけたりしていた。同研究室は「親が白毛だったかは分からない。親同士の遺伝子の組み合わせで白毛に変異した可能性もある」とみる。

 クマの生態に詳しい北大大学院の坪田敏男教授(野生動物学)は、映像に残っていた尿の出方から、個体は雌で現在は4歳くらいと推定。「毛のパターンから見て、同一個体の可能性が高い。雌は雄よりも行動範囲が狭く、撮影場所の周辺に定住しているのではないか」と話す。

 北方領土の白いヒグマはビザなし交流の専門家枠で訪れた調査団が09年、国後島で確認。当時の聞き取りで、生息する約300頭のうち1割の毛が白いとされた。隣の択捉島でも生息が確認されており、両島とも上半身が白いのが特徴。調査団の一人で酪農学園大(江別)の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は「八雲のヒグマは下半身も白いという点で珍しい」とする。

■追跡のチャンス

 ホッキョクグマは獲物や外敵から身を隠すため、雪氷と同じ白色(体毛自体は透明)に進化したとされる。佐藤教授の国後島での調査では、白毛のヒグマは一般的な黒毛よりも水中にいるカラフトマスに警戒されにくく、捕獲の際に有利との結果が出た。北方領土は島のため周囲から隔離され、黒毛より有利な白毛同士の交配が進んで割合が増えた進化の途中である可能性もあるが、調査の機会が限られ、要因は解明されていない。

 八雲で18年7月に撮影された白いヒグマが4歳であれば、雄と交尾し、早ければ今年出産する。

 坪田教授は「八雲は北方領土と異なり定点観測できる環境にある。白いヒグマから生まれた子も白毛なのかを含め、生態を追跡できるチャンス」と、白いヒグマの謎解明に期待を寄せる。(古田佳之)

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